時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:‘価値観’をめぐる国家と国際機関との対立問題

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。10月27日付本ブログにて、「世界遺産」の登録をめぐるユネスコの一方的な価値判断の‘押し付け’問題を指摘させていただきました。

 さらに、仮に、このような国際機関による価値観の強制的行使が、文化面のみならず、政治面にも拡大された場合、その機関は、あたかも「世界政府」のような機関となり、その「世界政府」は、共産主義一党独裁による恐怖政治を国民に敷く国家権力の如き権力体となる可能性があることにつきましても、言及させていただきました。
 
現に、このような国際機関による強制的な価値観の‘押し付け’問題の政治面への拡大の徴候は、国際情勢に混乱をもたらしているようです。例えば、難民の受け入れ問題も、その一例である、と言うことができます。受け入れ予定国の国民の大半が、諸般の事情やその国固有の理由によって、難民の受け入れに反対しているにもかかわらず、国際機関からの要請により、政府が、受け入れを容認する場合が生じているのです。
 
国民側は、社会保障制度との整合性(負担と受益の均衡)、その国固有の文化の維持、国民の間における政治的信条の共通性や宗教的信条の共通性の維持といった価値観から、難民の受け入れに反対することになるわけですが、国際機関は、別の価値観、すなわち、人類の多様性を無視した‘世界市民的’人類観を‘押し付け‘てくることになるわけです。
 
このことから、多くの国々と国際機関との間に’価値観‘をめぐって対立や軋轢が生じてくることになってしまうのです。はたして、このような対立は、今後、どのような方向に向かうこととなるのでしょうか。

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(続く)