時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

疑問に満ちた東住吉事件の再審決定

 今から20年ほど前、大阪市東住吉区では、小学6年生の女児が自宅の車庫での出火により、隣接する風呂場で死亡する事件が発生しました。この事件、犯人は、同居していた母親とその内縁の夫とされていましたが、先日、再審が決定されたことから、俄かに注目を集めています。何故ならば、”無罪”を推定するには、あまりに疑問が多すぎるからです。

 ”疑わしきは罰せず”とは申しますが、この事件、状況証拠からしますと、冤罪ではない可能性の方が高いように思われます。死亡した女児には、1500万円もの保険金がかけられており、受取人は、母親の青木受刑者であったそうです。母親自身は、こうした保険には加入していなかったそうですので、不自然さが際立ちます。しかも、200万円の借金もありながら、4000万円のマンション契約も結んでいたという情報もあるようです。検察が、即、保険金目当ての放火殺人を疑ったのも頷けます(受刑者は、保険会社に保険金の支払いを請求したとも…)。また、再審請求が認められた根拠は、朴受刑者の自白とは異なる状況でも出火が起きるという再現実験によるものです。密閉した室内で自動車のガソリンを満タンにした状態で、かつ、ガソリンタンクの蓋が開いている場合にはガソリンが漏れ出し、気化したガソリンが近くの風呂場の種火に引火するという実験です。しかしながら、たとえ、この現象が確認できたとしても、どのくらいの確率で起き得るのでしょうか。自白内容との違いは、無実を証明するわけではなく、一つの可能性を示すに過ぎません。また、自白に虚偽があったとしても、無実の証明にはならないはずです。否、仮に保険金目当ての計画的な犯行であったとすれば、自白の手法よりも、より巧妙な手段を用いた筈です。

 こうした疑問点の他にも、亡くなった女児は、朴受刑者から性的虐待を受けており、目撃談によりますと、出火時において、両受刑者は積極的には救出しようとする素振りは見えなかったそうです。遺体は事件後に荼毘に付されたとされていますので、焼死したわけもなく、何故、女児は逃げ遅れたのか、この点も十分には解明されてはいません。マスコミは、冤罪と決めつけて美談風に報じておりますが、受刑者には虐待の事実や疑問点も多々あるため、国民の多くは、無罪には懐疑的なのではないでしょうか。正義が実現されることを望むばかりです。

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