時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『China 2049』と『吉備大臣入唐絵巻』から見えてくる中国の『兵法三十六計』の脅威(パート2)

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。今回も、昨今、反響を呼んでおります『China 2049』に関連して、『吉備大臣入唐絵巻』から見えてくる中国問題を、番外編として扱います。
 
11月27日付本ブログにて、マイケル・ピルズベリー氏は、その著作『china 2049』を、「瞞天過海(天をあざむいて海を渡る)」という『兵法三十六計』に載る言葉ではじめている、と述べました。

この言葉は、2012年11月30日に、蔡国強なる中国人アーティストが、クリスマスツリーを花火(爆薬)で爆破するというパフォーマンスを、アメリ連邦議会議事堂の目と鼻の先のナショナル-・モールで行い、このパフォーマンスに対して、蔡に、アメリカ国務院より、芸術勲章が贈られたという事件をめぐりまして、中国の古典に詳しいピルズベリー氏の頭に、中国脅威論として、まっ先に思い起こされてきた言葉のようです。
 
その理由は、蔡がクリスマスツリーを爆破した真の目的が、キリスト教を象徴するクリスマスツリーを爆破するというパフォーマンスを通して、「西洋文明を破壊し、中国が米国に取って代わる」という中国の野望を、暗にアピールすることにあったにもかかわらず、この蔡の意図に気付かずに、蔡のパフォーマンスに拍手喝采し、勲章と賞金まで贈った米国人の‘おめでたさ’にあります。「瞞天過海(天をあざむいて海を渡る)」とは、「ありふれた風景に隠れ、敵の油断を誘う」という意味であり、一見、他意の無い、なにげないアート・パフォーマンスに見えながら、実のところは、米国を破壊するという意図を表現したものであり、蔡に拍手喝采していたのは、海の向こうの中国人たちであったということになるのです。すなわち、攻撃目標となっていることを知らない米国人側は、蔡に騙されて、蔡に協力したことになるのです。
 
『兵法三十六計』に載る兵法は、その兵法を現在でも実行している中国人のメンタリティーの危険性を、国際社会に知らしめている、と言うこともできます。蔡が、米国において行ったことに、「「野馬台詩」は、どうせ、米国人には読むことはできまい」、すなわち、「米国人には、米国を滅ぼそうとしている中国の意図は、どうせわかるまい」という中国人の奢りを、看取することができます。我が国は、古代より、このようなメンタリティーを持つ中国の脅威に晒され続けてきた国であり、『吉備大臣入唐絵巻』も、その一端を語っているのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

 
(続く)