時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮の水爆実験-独裁体制崩壊の序曲か?

 昨日、北朝鮮で実施された”水爆実験”は、誕生日を控えた金正恩氏が、体制固めのために行われたとする見方があります。比較的年齢が若いこともあって、金正恩氏は、国民の人心を掌握するに程遠く、内心において反発を買っているのかもしれません。

 北朝鮮の独裁者として、何としても自らの地位と力量を認めさせたいのでしょうが、結果としては、独裁体制を弱体化させたのではないでしょうか。第一に、核実験では、放射性物質が僅かであれ空気中に拡散されるそうですが、国民にとりましては、指導者が国民の健康を考えもせずに実験を行い、自国内に汚染物質をまき散らされたことになります。第二に、”水爆実験”は、”水爆”としては失敗なようですが、それでも、マグニチュード5程度の地震を発生させています。仮に、成功していれば、さらに大規模な地震が起きたでしょうから、これもまた、国民無視の証でもあります。もっとも、狭い国土での核実験は、国民に危険が伴うものの、完璧な情報統制が敷かれている場合には、政府の誘導に従って、国民は、”水爆”を称賛するかもしれません。しかしながら、命令書にサインする瞬間を放映させたことは、今後、国際的な経済制裁の強化によって国民生活が貧窮した時には、独裁者は、国民の怨嗟を受けるこになるのではないでしょうか。

 独裁者の思惑とは逆に、無謀な”水爆実験”は、独裁体制を強化する方向に作用するとは思えません。北朝鮮の水爆実験は、経済制裁による”兵糧攻め”による落城のみらず、人心の離反による独裁体制崩壊の序曲となるかもしれないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。