時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

AI時代の到来-外国人労働力受入れよりも雇用減少の心配を

 日本国政府の政策は、常々、”周回遅れ”が多く、海外諸国が失敗した政策の後追いが目立ちます。今般も、自民党内に、労働力としての移民受け入れのための委員会を設置するそうですが、この対応も、時代の流れに逆行しております。

 最近、欧米諸国で問題視されているのは、ロボットやAI(人口知能)の導入による雇用の減少です。工場等での単純労働がロボットに代替されると共に、これまで、ホワイト・カラーの仕事とされてきた事務系の分野でも、AIに人間の仕事を奪われるというのです。実際に、ロボットののみで製品を製造している工場も登場しており、決して遠い未来のお話ではありません。人手不足どころか、人余りの時代を迎えつつあるのです。政治家に先見の明があれば、近い将来に訪れる雇用減少こそ心配すべきです。人間の仕事として何が残り、そして、そのためには、どのようなスキルと教育が必要なのか、そして、多くの人々が人間としての能力を活かすことができる経済システムとはどのようなものかを真剣に考えてゆきませんと、中間層を含めた失業の大量発生という忌々しき事態を招きかねません。

 先の先を見通すことこそ重要であり、現時点では労働力不足に見えても、その直ぐ先に雇用減少時代が迫っています。特別委員会を設置するならば、次の時代を睨んだ雇用減少への対策のための機関を設置すべきではないかと思うのです。

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