時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『聖書』の「黙示録」はなぜ「暴露録」であるのか

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。引き続き、「2016年問題」について扱ってまいります。4月22日付の本ブログにて、『聖書』黙示録The Revelationのキーワードが、「パナマ文書Panama Papers」の特徴と符号してくる可能性がある点として、「④暴露される巨悪revelation」について扱いましたが、‘revelation(暴露)’の問題は重要ですので、本日も、この点について扱ってまいります。
 
前回の4月22日付本ブログにて、『聖書』黙示録The Revelationの言わんとする要点のひとつは、「悪を暴くことができるのは、善悪の判断能力が十分にあり、しかも、知能レベルが極めて高く、知識も豊富な清廉潔白な存在である」と述べました。『聖書』黙示録The Revelationの著者は、人類を‘悪’によって支配し、生きていることを苦痛とさせるような世界をつくろうとする「赤いドラゴンthe Red Dragon」、「野獣the beast」、「にせ予言者the false prophet」は、かなり“悪知恵”の働く存在である、という認識を強く持っていた、と考えることができます。人々の一般常識、社会通念、良識では、その悪事を見抜いて、人類を救うことはできず、善悪の判断能力と超人的な頭脳を有するイエス・キリストのような存在の洞察力と分析能力によってのみ、悪事は見抜かれ、人々は救われるということになるのです。
 
このことは、古代より、「赤いドラゴンthe Red Dragon」、「野獣the beast」、「にせ予言者the false prophet」の悪事は、かなり巧妙、かつ、狡猾な方法で行われてきていることをも意味しております。では、どのような方法で、悪事が行われてきているのか、を推測してみますと、少なからず、以下の点は指摘することはできるようです。
 
①人々の一般常識、社会通念、良識を悪用する(善良なる人々が、良心に照らして自らの絶対に行わないような方法で悪事が行われることから、人々は、「まさか、このような卑劣なことをする人はいないはずだ」と考えてしまい、見過ごしてしまう)
②巧妙、かつ、狡猾に自らが行った悪事を他人になすりつける
③他人の業績や評価を横取りする
④敵と味方の両方に通じる
⑤情報統制を行う
⑥悪事を行うのに直接的ではなく迂回ルートを使う
⑦悪事が気づかれそうになると人々の関心を逸らすような事件を起こす
⑧「赤いドラゴンthe Red Dragon」、「野獣the beast」、「にせ予言者the false prophet」の考えに近い悪人達を組織してネットワークを構築し、連携して悪事を行う
 
少なからず、このような点は指摘することができるのですが、特に、‘revelation(暴露)’との関連におきましては、情報統制が悪事に用いられている点は、重要です。それは、人々の判断は、‘どこまで情報を知っているのか’によるからです。マイケル・ピルズベリー氏の著書、『China 2046』によりますと、共産党中国は、‘偽民主化’を演出して、米国から多額の支援を得ていたそうです。米国は、それが、‘偽民主化’であることに気づくまでは、支援を続けたといいますので、情報の有無は、政策の判断において極めて重要である、と言うことができるでしょう。
 
すなわち、暴露された情報や、情報分析によって明らかとなった新たな事実によって、判断を変えねばならない場合は多々あり、‘知らぬが仏’という諺がありますように、知らない間は、騙されてしまうことになるのです。情報があれば、①から⑧までの方法によって行われている悪事も、かなり見抜くことができるはずです。
 
このように考えますと、‘revelation(暴露)’は、悪の存在を浮かび上がらせ、社会を浄化するために必要なことであり、『聖書』が、洗礼を重視し、そして、「黙示録」ならぬ「暴露録The Revelation」を重視する理由でもあるのでしょう。

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(続く)