時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

住宅喪失問題-防ぐべきは”災害難民”化という事態

 中東のシリアでは、内戦による破壊により住む場所を失い、多くの住民が難民となってヨーロッパに大量に流入する事態が発生しております。実のところ、東日本大震災熊本地震の被害状況からも明らかなように、日本国もまた、別の原因、即ち、大規模災害によって住居を失う人々が大量に発生するという深刻なリスクを抱えております。住民の多くが住居を失うという意味で、被災地の住民の方々がの多くが、”災害難民”と化してしまいかねないのです。

 今般の熊本地震では、報道によりますと、住宅被害が1万棟にも及び、倒壊家屋のみならず、倒壊の危険があると判断された家屋も多く、今後、数万人の人々が住む場所に困ることが予測されます。現在、学校の体育館などが避難所として使用されていますが、授業再開等により、継続的な使用が難しいとなると、他の方法を検討せざるを得ません。仮設住宅の設置や公営住宅の利用等も既に検討されておりますが、大規模地震の発生が予測されている地域では、まずもって、この住居喪失への対応策を策定しておく必要がありそうです。現在できることは、可能な限り被害数を最低限に抑えるための個々の家屋の耐震補強の強化であり、補助金制度の新設も検討すべきことかもしれません。また、民間の建設会社等が、耐震需要に応えるために、より安価で効果的な耐震補強技術の開発すれば、家屋の耐震度強化が促進されることでしょう。行政サイドとしても、阪神淡路大震災を教訓に、広域的火災の発生に備え、消防活動や延焼防止のために、住宅地の道路の幅の拡張工事を実施し、住宅の焼失を事前に防止することなども検討課題となりましょう。首都圏ともなりますと、数十万単位の住居喪失者が予測されるのですから、防災こそ、住民の運命を左右します。

 熊本地震での住宅被害も、補強工事等により居住可能となれば、住宅喪失問題を緩和することができます。この点に関しては、政府のみならず、企業の技術的な協力も必要となるかもしれません。住む家がない状況が長引いてはならず、何としても”災害難民化”を防ぎ、早期の日常への復帰を図らなければならないと思うのです。

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