時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

自ら”非文明国”認定している中華人民共和国

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。去る7月12日、7月15日付本ブログにて、南シナ海をめぐる常設仲裁裁判所による中華人民共和国に対する判決問題を扱い、人間による裁判が善悪の判断として機能しなくなる日が、『聖書』「暴露録(黙示録)」において、神様による「最後の審判」が必要とされるような日となる可能性が高い、と述べました。
 
常設仲裁裁判所の判決に対しまして、多くの国々が支持を表明しておりますように、中華人民共和国南シナ海をめぐる「九段線」などの主張を国際法違反と認定し、中華人民共和国の暴力主義を戒める内容となった判決は、まだ、人間による裁判が善悪の判断として機能していることを示しています。その一方で、常設仲裁裁判所の判決の拒絶は、この裁判所の設立の趣旨からも、中華人民共和国が自ら『聖書』「暴露録(黙示録)」の「赤い竜(the red dragon)」であることを露わにしているかのようです
 
常設仲裁裁判所は、1899年、並びに、1907年に成立した「国際紛争平和的処理条約Convention for the Pacific Settlement of International Disputes」にもとづいて設立された裁判所です。その条約は、「…一般平和ノ維持ニ協力スルノ堅実ナル意思ヲ有シ、全力ヲ竭シテ国際紛争ノ友好的処理ヲ幇助スルニ決シ、文明国団ノ各員ヲ結合スル連帯責任ヲ認識シ、法ノ領域ヲ拡張スルト共ニ国際的正義ノ感ヲ鞏固ナラシムルコトヲ欲シ、諸独立国ノ間ニ於ケル各国ノ頼ルヲ得ヘキ仲裁裁判ノ常設制度カ右ノ目的ヲ達スルニ有効ナルヘキヲ確信シ…Animated by the sincere desire to work for the maintenance of general peace;Resolved to promote by all the efforts in their power the friendly settlement of internationaldisputes;Recognizing the solidarity uniting the members of the society ofcivilized nations;Desirous of extending the empire of law and of strengtheningthe appreciation of international justice;Convinced that the permanentinstitution of a Tribunal of Arbitration accessible to all, in the midst ofindependent Powers, will contribute effectively to this result;Having regard tothe advantages attending the general and regular organization of the procedureof arbitration;…」と謳っております。
 
すなわち、文明国が、一致結束して、法にもとづいて、国際紛争を平和的に解決しようというのが、常設仲裁裁判所の設立の目的となっているのです。換言いたしますと、領土問題を含めまして、国際紛争を、法の支配による平和的な手段によって解決ができる国々が、文明国civilized nationsである、ということにもなります。今般、中華人民共和国は、常設仲裁裁判所の裁判を拒絶しましたが、これは、自ら非文明国であることを認めたことになるのではないでしょうか。

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(続く)