擁護論を要約しますと、凡そ以下の3つが合法論の法律上の根拠のようです。
1.国籍法の第14条②にでは、国籍の選択方法として、(1)外国の国籍を離脱する、(2)戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨宣言する、の二つの方法を定めている。(2)では、宣言に過ぎない。
2.国籍法15条では、法務大臣がなおも二重に国籍を保持する者に対して催告することができる。
3.国籍法第16条①は、”選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない”とし、努力義務としている。
しかしながら、ここで問題とすべきは、国籍選択に際しての宣言は、”外国の国籍の放棄”であることです。この規定により、日本国の国籍法が、二重国籍を禁じていることは明確であり、仮に、容認しているならば、法が虚偽の宣言を許すことになり、法理上あり得ないことです。このため、第15条の催告とは、二重国籍を維持した者に対して、実際に政府が国籍を失わせる措置を採るまでの手続きとして理解されます(二重国籍を維持する場合、日本国籍の喪失もあり得る…)。また、放棄を宣言した以上、本人にも義務が生じることは当然であり、たとえ努力義務を付す条文があったとしても、二重国籍を容認の意味で解釈には無理があります。おそらく、全ての二重国籍者の国籍放棄状況を政府が把握することが困難であるため、努力義務とする規定を置いたのでしょう。
なお、第16条の②以下では、日本国籍を有する二重国籍者が、自らの意思で他の一方の国籍国である外国で公務員となった場合、”その就任が日本国籍を選択した主旨に著しく反すると認められるとき”には、法務大臣は、日本国籍を喪失する宣告ができるとしており、特に公務員の二重国籍に否定的な姿勢で臨んでいます。もっとも、日本国の公務員が外国籍を有する逆パターンに関する規定が存在しないため、容認しているとの見解も主張されるかもしれません。しかしながら、上述したように、”外国籍の放棄”を宣言している以上、国籍法の二重国籍禁止の原則には変わりはなく、政治家を含む日本国の公務員であっても、発覚すれば、国籍喪失の理由となることでしょう。
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