時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本維新の会の二重国籍禁止法案に潜む危険性

 蓮舫議員の二重国籍疑惑は、日本国政府の国籍管理の甘さをも露呈することとなりました。騒ぎの拡大を受けて、早々に、日本維新の会が、二重国籍に関する法案の作成に取り掛かったと報じられております。

 日本維新の会としては、二重国籍問題に迅速に対応したつもりなのでしょうが、その法案の内容とは、政治家を対象として二重国籍を禁止する、というもののようです。識者の中には、この法案を持ち出して、政治家以外の一般の二重国籍者は合法であるかのような議論を展開している方も見受けられます。また、現状にあっても、外務省の職員規定に既に二重国籍の禁止が設けられていることも、合法論の根拠とされています。しかしながら、日本国の国籍法では、公務員であれ、政治家であれ、明らかに二重国籍を禁じていますので、特定の公職を対象に禁止事項が存在していようとも、また、新たに政治家を対象として新法を制定したとしても、この原則が変わるわけではありません。”禁止と書いていないから合法”と主張する合法論は、法の悪しき反対解釈です。仮に、一般の人々の二重国籍を認めたいのであるならば、国籍法の改正を訴えるべきであり、”裏道”を作るような方法では、国民の多くが納得しないことでしょう。

 法案の提出に先立って、まずは、日本国の国籍法の原則が、誰であれ、二重国籍の禁止であることを、今一度、確認しておく必要があるのではないでしょうか。当法案の成立が、なし崩し的な二重国籍の容認と見なされないためにも…。

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