時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

もんじゅ廃炉問題-高速増殖炉の開発放棄なのか?

 昨日、日本国政府は、高速増殖炉もんじゅ廃炉の方針を固めたとする報道がありました。高速増殖炉は、”夢の技術”とされ、エネルギー問題解決の期待を一身に背負ってきたのですが、もんじゅ廃炉は、高速増殖炉開発の放棄を意味するとしますと、その損失も莫大なのではないかと思うのです。

 仮に、高速増殖炉の技術が物理的に100%開発不可能であり、成功する見込みが一切ないならば、高速増殖炉開発は断念すべきかもしれません。今後見込まれている10年間で6000億とされる開発費用は、無駄になるからです。しかしながら、アメリカやフランス等では放棄されましたが、当技術は、ロシア、インド、中国などでは開発が継続されており、一定の成果も報告されています。また、高速増殖炉は、核のゴミ問題解決の切り札でもあり、仮に、この技術を断念するとしますと、放射性廃棄物の処理は、再処理工場でMOX燃料として再利用するか、地層処理するしかなくなります。日本国には、これまでの原発稼働により大量の放射性廃棄物が保存されており、何れの方法で処分するにしても、6000億円以上の費用がかかる可能性もあります(高速増殖炉であれば、再処理以上に効率的にエネルギーを取り出し、かつ、廃棄物処分も同時にできる…)。

 もんじゅの他にも、高速増殖炉の実験炉としては常陽がありますが、新型の増殖炉を建設するなど、可能性がある限り、高速増殖炉の開発は継続すべきなのではないでしょうか。もんじゅについても、できる限り存続の道を探るべきですし、運営主体が見つからない、という理由だけでは、将来性のある技術まで捨てるのは賢明な判断とは言えないと思うのです。

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