「もんじゅ」廃炉論は安易では?
先日、原子力規制委員会は、これまで高速増殖炉「もんじゅ」を運転してきた日本原子力研究開発機構には安全運転の能力がないと判断し、他の運営主体に移すよう、文部科学相に勧告を出したそうです。この報道から、「もんじゅ」廃炉論も取り沙汰されていますが、「もんじゅ」は廃炉すべきなのでしょうか。
「もんじゅ」廃炉論者の主張は、高速増殖炉は、既に理論的に破綻しており、開発する価値がない、というものです。加えて、他の諸国の計画断念、冷却材として使用されているナトリウムの危険性、核兵器製造に転用し得るプルトニウム抽出への懸念…等が挙げられております。確かに、計画を中止した諸国もありますが、ロシア、カザフスタン、インド、中国、韓国といった諸国が、現在でも高速増殖炉の開発を進めており、理論的に破綻したとは言い難いようです。また、ナトリウムは水と接触すると発火反応等を示しますが、核分裂のような爆発的な破壊力があるわけではありません。プルトニウムの抽出についても、核分裂性物質である限り、エネルギー源とするか、核兵器とするかは、用途の違いに過ぎません。核兵器用の軍事利用の可能性が、即、エネルギー源としての平和利用を否定するわけでもないのです。「もんじゅ」の開発に成功した場合のメリットは計り知れず、エネルギー自給率の飛躍的な向上のみならず、核廃棄物処理の解決にも直結します。
これまで、「もんじゅ」の開発には、1兆円ほどの国費が投入されていますが、仮に、数年後に、他の諸国が高速増殖炉の開発に成功した場合、何と言い訳をするのでしょうか。廃炉となった場合、「もんじゅ」の技術や関連の技術者が海外に流出する怖れもあるのですから、安易な廃炉には慎重であるべきと思うのです。
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