時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「騙しの時代」に必要なのは情報開示

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。本ブログにて、『聖書』「暴露録(黙示録)The Revelation」の最後の審判の日the Judgement Dayについて扱い、「revelation」は、黙示ではなく、暴露の意味であると指摘させていただいておりますが、昨今の世界情勢は、いよいよ「情報開示」問題、すなわち、どこまでの情報を知っているのか、といった問題が重要であることを示しているように思います。
 
ウィキリークス事件も然ることながら、例えば、現在、米国大統領選挙においても、共和党のトランプ氏と民主党クリントン女史との間で、激しい暴露合戦が行われております。両氏に対する有権者の評価は、これらの内容が真実であるのか、それとも偽情報であるのかを、正しく判断できるだけの情報をどの程度知っているのかによって、大きく左右されます。仮に、事実でしたならば、大統領としての適性に疑問がもたれ、即、大統領戦からの撤退を求められかねない中傷内容なのです。
 
さらに、『バハマ文書』は、元EU副委員長クルス氏など、租税回避行動(タックスヘイブン)を取り締まるべき役職にあった人物が、実は、その逆に、租税回避行動を採っていたとする事実を明かしました。仮に、『バハマ文書』という情報を知らなければ、人々は、クルス氏に対して「租税回避を取り締まる立派な人である」と評価してしまったことでしょう。『パナマ文書』もまた然りなのです。
 
我が国をめぐりましても、皇室関連の情報が統制されている問題、選挙結果によりましては日本国の首相となる可能性のある国会議員の国籍をめぐって、当人が戸籍謄本などの証拠書類の提示を拒んでいる以上、議員資格のはく奪などの措置を採ることができないという問題、さらには築地市場豊洲への移転や東京オリンピックの過大予算をめぐる不透明な経緯の問題など、情報公開すれば、人々が正しい評価と判断ができるようになると考えられる問題を多数抱えております。
 
どこまで情報を知っているのかによって、人の判断や歴史の評価は、180度変わることがあります。孫子の兵法を信じるような人々は、人を騙すことに躊躇しませんので、仮面を被ることも大変上手です。今年は、最後の審判の日の年代の有力候補となる2016年。いよいよ、暴露が重要である時代となった、と言うことができるでしょう。

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(続く)