時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「シナノサウルスChinanosaur」を育てるグローバリズム

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。昨今、「赤い竜red dragon」、学名「シナノサウルスChinanosaur」が世界中を跋扈し、世界は、ジュラシック・ワールド化してしまう危機に直面しておりますが、こうした恐竜的メンタリティーは、中国共産党政権が、経済グローバリズムの波に乗り、その経済戦略を世界大に進めた場合に、大きな破壊力を持つようになるようです。それは、これまでの企業買収などのグローバリズムには無い、共産党政府ならではの‘人海戦術という秘密兵器’を中国共産党政権は、保有しているからです。
 
大手企業・資本が、中小企業を呑み込んでゆく現象は、今に始まったことではなく、19世紀や20世紀からしばしば、行われていたことです。しかしながら、こうした企業買収は、私企業の行為であり、必ずしも政府や政府の政策と密接に結び付いた行動ではありませんでした。政府と私企業の活動との分離の原則は、‘グローバル企業’と称されている企業が、その本社を置く国家とは離れた位置にあることによっても示されます。「パナマ文書」や「バハマ文書」が示す通り、納税さえも回避しようとしているほどなのですから。
 
ところが、中国企業は、中国政府と一体となっている、という他の国々にはない特徴があるのです。この特徴こそ、もっとも恐るべき特徴である、と言うことができます。すなわち、中国政府系企業に買収された外国企業が、中国政府の下部組織化してしまう、という問題が発生することになるのです。共産主義とは、政治と経済が一体化した体制ですので、このような中国政府の下部組織化は、現地従業員の解雇や中国からの移民の流入といった問題を引き起こすことになります。徐々に、中国共産党政権は、諸外国に人を送り込むという‘人海戦術’を展開することができるのです。
 
中国共産党政権の野望は、金融自由化、ならびに、AIIBなどを通しての資金調達によって、より危険性を増すことになります。資金提供した欧米各国の金融は、資金回収のために、資金を焦げ付かせないようにするために、こうした中国共産党政府を支援してしまうことになるからです。この結果、世界のジュラシック・ワールド化は、さらに、進んでしまうことになります。すなわち、グローバリズムが「赤い竜red dragon」、学名「シナノサウルスChinanosaur」を育ててしまうことになるのです。
 
誰が、そして、どのようにして、世界のジュラシック・ワールド化を防ぐのか、世界の多くの国々は、「赤い竜red dragon」、学名「シナノサウルスChinanosaur」という現在に蘇った恐竜の脅威への対応策を、早急に策定しなければならないのではないでしょうか。
 
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(続く)