時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

本能寺の変にはイエズス会が関わっている

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。昨日、本ブログにて、イエズス会がかかわる世界支配について考えてみました。では、日本国においても、イエズス会による何らかの計画があったと、といたしますと、それは、具体的に、どのようなものであったのでしょうか。
 
フランシスコ・ザビエルが来日した16世紀末当時の日本は、応仁の乱以降の‘武者の世’にあって、朝廷や幕府は存続しておりましたが、群雄割拠の状態にありました。仮に、このような状態において、イエズス会が、日本国を支配しようと計画したといたしますと、12月13日付本ブログにて挙げた以下の5つの基本戦略に沿ったものであったと考えることができます。
 
(1)王室を断絶させるか、偽者にすり替え、操り人形、傀儡の人物に権力を集中させる(独裁化)。
(2)王族の中で最も御し易い人物を選定して教育を施し、宮廷クーデタを起こさせて王位に就かせる。
(3)現地国民の中から自らの手先となる人物を一人、または、数人を選定し、有力者に育てた上で王朝交代、あるいは、新政権を樹立させる。
(4)宗教等を利用して、現地国民の中の特に最下層民や不満層を組織し、国家破壊活動に従事させ、内乱、あるいは、革命を起こさせる(武装に際しては、武器を提供)。
(5)既存の民族国家には別の民族を送り込み、権力を与えて新たな支配階層とし、間接支配する。
 
おそらく、イエズス会は、織田信長による天下統一を背後から利用しようとしたのかもしれません。武器供与し、‘天下布武’のもとに、日本全国を統一させれば、(1)を実現するための最初のステップとなるからです。安土桃山城には、天皇のため御所とも目される建物も設けられており、その御所を、天守閣が上から見下ろす構図となっております。秀吉による朝鮮出兵も、信長のプランを継承したされていますが、案外、明国支配を目指したイエズス会の入れ知恵であった可能性もあります。

それでは、イエズス会の計画は、目論み通りに進んだのでしょか。ルイス・フロイス書簡からは、イエズス会は、その御し難い性格や下層出身ではなかったことから、信長に対して、好感を持っていなかったようです。信長を大いに利用しながらも、”公武合体”により国家権力を信長に掌握させた後には、別の人物に挿げ替えるという方法を採ったのではないか、と推測されるのです。
 
そこで、注目したいのが本能寺の変です。本能寺の変は、信長が天下統一を間近とした時点で発生しております。この事件は、家臣の明智光秀による謀反とする説が通説となっておりますが、この説では説明のつかない以下のようないくつかの重要な不審点があります。
 
1)一万五千人とされる光秀の兵士が、京都洛中に入ってきているのに、信長が気付かなかったはずはない(甲冑の帷子の音は、かなり遠くからでも聞こえるそうで、ましてや、1万5千人の兵士の行軍は、信長の耳に届くはず…)。
2)本能寺の隣は、イエズス会の寺院であった。
3)ルイス・フライスの書簡には、信長は、パラッティオに逃げ込んだとある。パラッティオを宮殿と解すると、信長は、本能寺ではなく、京都御所で最後を迎えた可能性が高い。
4)公家の日記も含め、本能寺の変当時の状況を伝える史料の多くは、肝要な箇所が削除されている。
5)家康の伊賀越えは、予め情報を知っていなければあり得ない。
6)『信長公記』は、本能寺の変から相当の時が経過した後に執筆されており、かつ、信憑性に疑問がもたれている。
  
以上の6点を踏まえますと、本能寺の変とは、今日、通説とされる光秀謀反説とは、まったく異なる内容の事件であった可能性を指摘することができます。では、どのような事件であったと推測することができるでしょうか。5つの基本戦略に沿って推理してみますと、以下のようになります。
 
日本国の全国家権力を掌握するためには、幕府権力のみの掌握では不十分であると考えていた信長は、朝廷を占拠、もしくは、崩壊させることを光秀と共謀して計画いたします。この計画自体にイエズス会の関与があったことは、光秀の娘の玉子(洗礼名ガラシャ)が、キリシタンであって、イエズス会と近い関係にあったことから窺うことができます。信長は、表向きは、信長に対する光秀の謀反による上洛であるかのように装いながら、光秀軍兵1万5千を京都に招き入れることで、この計画を実行に移したとも推測されます。すなわち、信長はと光秀は、共謀関係にあった可能性があるのです。こうして信長は、光秀とともに御所を占拠するわけですが、イエズス会は、もとより、信長に対して好意を持っておらず、このことによりまして、事態は、別の展開を迎えることになったと推測することができるのです。換言いたしますと、信長は、イエズス会に騙されたのであり、イエズス会は、幕府権力と朝廷権力の掌握までを信長に遂行させ、その後に、信長が掌握した全権力を簒奪することで、日本国の支配を完成させようとした、ということになります。
 
5つの基本戦略から見えてまいりますこの別の展開につきましては、次回扱います。

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 (続く)