時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

マスコミによる”正しさ押し付け”問題

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。マスコミによる洗脳活動につきまして、もう一つ挙げますと、世界支配志向勢力にとりまして有利な意見や説を「正しい意見」、「正しい説」であると決めつけて言い張り、その説や意見以外の意見や説を、あたかも間違った意見や説であるかのように、あの手この手でパフォーマンスすることです。
 
歴史に関する諸説に対する姿勢も含め、様々な学問分野において、このようなマスコミによる’正しさ?’押し付け問題は見られるのですが、昨今、気になりますのは、「雇用の確保」の問題に対する報道姿勢です。年始であることもあり、今年の経済予測、景気動向の予測として、マスコミに登場する所謂‘専門家’と称される人々は、口を揃えて、「米国に保護主義の動きが広がると、景気は後退するかもしれない」という趣旨の発言を行っております。すなわち、「保護主義は絶対悪である」というレッテルを貼っているのです。そして、ここで言う「保護主義」とは、‘米国政府による米国民の雇用の確保政策’と‘移民の規制’を意味することは、論を待ちません。本日は前者の‘米国政府による米国民の雇用の確保政策’を扱いますが、雇用の確保策は、世界経済にとりましてマイナスなのか、という疑問が浮上いたします。
 
経済問題について考える場合に重要なのは、消費あっての生産であり、その消費は、賃金を含めた人々の収入によって支えられている、ということです。消費の縮小は、生産、すなわち、企業活動の縮小に直結しています。第二次世界大戦の原因の一つが、世界恐慌に端を発した深刻な景気減退に伴う失業問題あり、現在でも米国の株式市場の動向が、全米の雇用統計の指数に左右されておりますように、世界経済の維持と持続的成長にとりまして、雇用の確保は重要な課題なのです。
 
従いまして、世界屈指の巨大市場である米国の政府が、雇用確保策を採ることは、長期的に見ますと、消費と生産のメカニズムを支えることになり、決してマイナス要因とは言い切れないのです。むしろ、米国からの工場移転や工場閉鎖が加速し、米国内の失業率が上昇し、世界経済が衰退するほうが、『聖書』「暴露録(The Revelation)」が描く「野獣the beasts」、「赤い竜the red dragon」及び「偽預言者false prophet」が跋扈する世界に近づくようにも思えます。
 
マスコミの言う「正しい意見」、「正しい説」が本当に正しい説であるのか、まずは、疑い、その正否を確かめる必要がありましょう。”正しさ”の強調は、反対意見を封じるための手段の一つでしかないかもしれないのですから。

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(続く)