‘ネオ・ユダヤ人’に見る野蛮の内部化問題
本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。
ユダヤ史を辿りますと、十二(十三)支部族からなるため、先祖伝来のユダヤ人たちのなかにも、モーゼのように十戒を厳しく遵守しようとするグループと、イエルサレムを武力制圧したヨシュアのように、十戒を比較的に軽視するグループがあったようです。また、‘ネオ・ユダヤ人’問題は、古くは、1世紀、洗礼者ヨハネやイエス・キリストの時代に既に生じております。アラブ系のイドメア人であるヘロデが、当時、中近東を支配していたクレオパトラとアントニウスに取り入り、ユダヤのハスモン王家と婚姻関係を結ぶことで、ユダヤ王国の王権を掌握することになるのです。ヘロデ政権が、十戒などの戒律を守るはずはなく、こうしたことから、洗礼者ヨハネはヘロデ王を非難して斬首され、そして、イエス・キリストも、実質的にヘロデ・アンティパス王によって磔刑に処されることになったのです。
洗礼者ヨハネとイエス・キリストの受難は、文明世界において、非文明人が内部化され、支配者となってしまうことがいかに危険なことであるのかを示しております。したがいまして、ユダヤ教団からのキリスト教団の分離、すなわち、キリスト教の成立は、ユダヤ教徒の組織が、イドメア人という非文明人に乗っ取られてしまったことに対する文明人側の一つの解決方法、すなわち、分離作戦、非文明人の切り離し作戦であったとも解釈することができるでしょう。
この非文明人の内部化問題は、近世以降のゲットーの成立によりまして、再び顕在化してきたようです。すなわち、ゲットーという閉鎖社会におきまして、隠れイスラム教徒、モンゴル系の人々、さらに、イエズス会との繋がりのある様々な民族を出自に持つ人種・民族の坩堝と化した‘ネオ・ユダヤ人’たちが、世界支配の第一歩として、先祖伝来のユダヤ人たちの組織の乗っ取りその悪用を始めたのではないか、と考えることができるからです。こうした‘ネオ・ユダヤ人’たちの出自隠蔽は、ある種の”出自ロンダリング”と名付けてもよいかもしれません。
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(続く)