時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

マクロン候補とナポレオンとの共通点

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。フランス大統領選挙におけるマクロン候補について、本日も注意を喚起いたしたいと思います。マクロン候補のプライオリティー、すなわち、グローバル、EU、そして、フランスの順は、ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David)の『18041202日、パリのノートルダム大聖堂での大帝ナポレオン一世の成聖式と皇妃ジョゼフィーヌ戴冠式Sacre de l'empereur Napoléon Ier et couronnement del'impératrice Joséphine dans la cathédrale Notre-Dame de Paris, le 2 décembre1804)』という有名な絵画を想起させます。
 
ナポレオンの戴冠式』と略されているこの絵画におきまして、ナポレオンは、自らはローマ皇帝と同じようなローブを纏い、ローマ皇帝を象徴する月桂冠を戴冠し、そして、妻であるジョセフィーヌJoséphineに対してまさに冠を戴冠させようとしている場面が描かれております。この絵画には奇妙な点が二つあります。一つは、ナポレオンは、戴冠される立場にあるのではなく、戴冠する立場にあることです(戴冠役として、ローマ皇帝ピウスⅡ世を招きながら、ナポレオンは自らの手で戴冠)。もう一つは、冠が2つ登場することで、一つは、ナポレオン自らが被っている月桂冠であり、もう一つはジョセフィーヌに被せようとしている王冠です。
 
これらの2つの点から、この絵画は、ナポレオン自らは、表面的にはフランス王を装いながら、世界の支配者たるローマ皇帝であり、ローマ皇帝の立場から、ジョセフィーヌにフランスの王冠、すなわち、王位を授けていることを暗に描いていると言うことができ、マクロン候補のプライオリティーの順を想起させるのです。
 
27歳の若きナポレオンは、当時33歳であったジョゼフィーヌ・ド・ボアルネJoséphine deBeauharnaisという既に子供が2人あった女性と結婚しており、マクロン候補の配偶者も、昨今、話題となっておりますように、既に3人の子のある24歳年上の女性であり、こうした点も、両者の共通点であると言えるでしょう。
 
ナポレオンやジェセフィーヌは、フリーメーソンであったという説があります。フリーメーソンは、ロスチャイルド家を中心とした世界支配志向勢力によってつくられた国際組織と考えられ、現在でも、世界の多くの政治家が、この組織に属しているとされております。ロスチャイルド家が、ナポレオン戦争の際に、ワーテルローの戦いの勝敗の結果を通して、莫大な利益を上げたことはよく知られており、また、フランス史上、‘国民に銃を向けた’初めての君主は、ナポレオンであったそうです。そして、この絵画には、人影に隠れるように、オスマン・トルコからの使者も描きこまれております。
 
フランス王国はナポレオンによってフランス帝国へと”昇格”したように見えますが、その実、フランス王国は、ローマ帝国再興の野望を懐いたコルシカ島出身の異邦人に乗っ取られてしまった、と見ることもできます。このように考えますと、マクロン候補の背景には、ナポレオンを‘担ぎ出し’、支えていた勢力と同じ勢力の影を見ることができるかもしれません。
 
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(続く)