時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「裏イエズス会」の悪巧み

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。フランシスコ・カブラルが、ザビエル派の「裏イエズス会」と近い関係にあったことがわかってまいりました。このことは、カブラルの日本での布教方針や活動内容を調査・分析することを通して、「裏イエズス会」の世界戦略が見えてくる可能性を示しております。
 
カブラルが来日し、カブラルの方針によって布教活動が行われるようになりますと、日本人信徒と宣教師たちの間には溝ができたそうです。カブラルは日本語を不可解な言語として、宣教師たちに習得させようとせず、日本人に対してもラテン語ポルトガル語も習得させようとしませんでした。それは、「日本人がそれらを理解し宣教師たちが話している内容がわかるようになると宣教師を尊敬しなくなる」、という理由からであったそうです。
 
このことは、カブラルたちが、‘聞かれては困ること’に、携わっていたことを示唆しております。宣教師たちの会話と言いましたならば、通常、キリスト教やその教義についての宗教的・神学的な会話が思い浮かびます。このような会話でしたならば、恐らく、日本人にその会話の内容を理解されても宣教師に対する尊敬心を失わせるような問題は発生しなかったはずです。にもかかわらず、「日本人がそれらを理解し宣教師たちが話している内容がわかるようになると宣教師を尊敬しなくなる」とカブラルが考えたことは、宣教師たちのポルトガル語の会話の内容が、武器密輸や奴隷貿易など、「裏イエズス会」が秘密裏に行っている‘仕事’についての会話であったからであると推測することができます。このような会話の内容を日本人の一般信徒たちには、知らせないようにするために、日本人には、ラテン語ポルトガル語も習得させなかった、と考えることができるのです。

すなわち、カブラルの布教方針の真の目的は、‘悪巧み’の内容を聞かれないようにするためであったと考えることができるのです。

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(続く)