時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

‘世界支配’の論理とシステムの源流-日本国布教とマラーノ(改宗ユダヤ人)問題

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。昨今、ザビエル問題と関連して、本ブログの読者の方から、徳永恂・小岸昭著『インド・ユダヤ人の光と闇』(新曜社・2005年)をご紹介いただきました。この本は、ザビエルのポルトガルリスボンやインドのゴアにおける活動について扱っておりますが、本ブログにおきまして再三にわたってその存在を指摘しております「世界支配志向勢力」の源流とその思想的背景を知る上で、非常に参考となる本でもあります。

 まだ、3分の1ほどしか読み進めておりませんが、ザビエルの言動、当時、ポルトガルにおいてカトリックに形ばかり改宗し「マラーノ」と呼ばれていた「ユダヤ人(先祖伝来のユダヤ人・偽ユダヤ人)」問題やマラーノをめぐる時代背景など、その記述内容から推理することで見えてくる点は、「世界支配志向勢力」との関連で非常に興味深い点となりますので、本ブログにおいてしばらく扱ってまいりたいと思います。
 
一昨日、昨日にわたりブリューゲルの代表作、『雪中の狩人』と『バベルの塔』の持つ怖い寓意について扱い、大航海時代、16世紀は、‘人が人を狩る思想’の存在が強く意識される時代であるとともに、‘世界支配’という概念が登場した時代でもあったことを指摘いたしました。その‘世界支配’を実現するためには、世界支配を正当付けるための論理(屁理屈)とその論理(屁理屈)を機能させるためのシステムが必要とされていたようです。そして、刻一刻と形成されつつあるその論理(屁理屈)とシステムにこそ、ブリューゲルをはじめとして、人々を震撼させるような残酷で、狂暴な要素があったと推測することができます。その論理(屁理屈)とシステムの謎を解くヒントは、ザビエルも参加していたポルトガルによる「異端審問所」の設置問題にあるかもしれません。
 
ザビエルは、ポルトガルジョアンⅢ世の支援によって来日しているわけですが、そもそも、ザビエルがジョアンⅢ世の招聘によりリスボンに赴いた理由は、マラーノのお世話をするためでありました。すなわち、ザビエルは、もとより、「ユダヤ人」問題とかかわりがあり、その一環、もしくは、延長線として、日本への布教があったということになるのです。

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(続く)