「黒いユダヤ人」が嫌われる理由
今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。「白いユダヤ人」と「黒いユダヤ人」問題をめぐりまして、私が「黒いユダヤ人」に対して批判的である理由を本日は扱います。
インドにおける「白いユダヤ人」と「黒いユダヤ人」の区別は、肌の色によっておりますので、「黒いユダヤ人」への批判は、差別的発言との誤解を受けてしまいそうですので、「黒いユダヤ人」が非難されるべき理由を持っていることを指摘しておかなければなりません。
それは、「モーゼの十戒the Ten Commandment」をめぐる両者の認識の違いの問題です。「白いユダヤ人」は、『旧約聖書The Old Testament』に忠実であろうとし、「モーゼの十戒」を守ろうとする人々です。「汝、殺すなかれ」、「汝、盗むなかれ」ですので、社会秩序と治安を維持に関して、脅威となるような人々ではないことになり、キリスト教世界、ヨーロッパ文明・文化に馴染んでいる理由もここにあります。
一方の「黒いユダヤ人」は、『旧約聖書』よりも、その解釈書である『タルムードTalmud』を重んじる人々です。『ダルムード』の多くがバグダッドで作られておりますように、西暦70年におけるディアスポラ以降、‘ユダヤ教’の教理には様々な解釈が混入してくることになりました。8世紀以降、バグダッドがイスラム教圏となりますと、特に、「黒いユダヤ人」の間で、‘ユダヤ教’とイスラム教は融合してゆくことになったと考えることができるのです。バグダット出身のサスーン財閥のディビット・サスーンが、完全にイスラム化した人物であったことにも、この特徴を見て取ることができます。
そして、イスラム教が、宗教を理由とした異教徒の虐殺や掠奪を容認する宗教であることは重要です。ユダヤ教は、イスラム教の影響を受けた「黒いユダヤ人」の解釈によって変質され、「汝、殺すなかれ」、「汝、盗むなかれ」は有名無実となり、「モーゼの十戒the Ten Commandment」は否定されるようにさえなったと考えることができるのです。
事実、「黒いユダヤ人」と手を結んだチンギス・ハーンが、その曲解された‘ユダヤ思想’を悪用して、8世紀におけるイスラム帝国の拡大の再来のように、ヨーロッパ人を含めて、当時、約1億8千万人もの人々を虐殺した歴史は、こうした思想の怖さを如実に示しております。
このため、特に、1492年のイベリア半島からの‘ユダヤ人’の追放を機に、世界各国に「黒いユダヤ人」たちが居住するようになりますと、現地の人々、特に、高い文明・文化を維持し、治安や国際平和を維持してきた人々との間に緊張関係が生じる結果となったのです。「ユダヤ人迫害」、「ユダヤ人差別」、そして、ゲットーの成立の背景には、こうした「黒いユダヤ人」の思想の問題があったと推測することができます。すなわち、「黒いユダヤ人」の側から見ますと、現地の人々は、異教徒ですので、現地の人々は、いつ何時、「黒いユダヤ人」による虐殺や掠奪の対象となるかわからないという恐怖を感じるようになり、「黒いユダヤ人」を猜疑と恐怖の目で見るようになってしまったと言えるでしょう。
このように考えますと、「黒いユダヤ人」による世界支配は、他の人々の抹殺や奴隷化の可能性を示唆するものであり、世界の平和と国際秩序の維持の観点、そして、倫理・道徳的観点からも、到底、容認できない、ということになるのです。「黒いユダヤ人」が非難されるべき理由は、まさに、「モーゼの十戒」の軽視による凶暴化と非文明化にあると言うことができるでしょう。
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(続く)