時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「黒いユダヤ人」とイエズス会に共通する非嫡出子問題

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。イエズス会などの教会が、孤児院などを通して「黒いユダヤ人」勢力による‘成り済まし作戦’に協力しているとなりますと、犯罪に加担していることとなり、教会の腐敗ということになりますが、そもそもイエズス会を含むカトリック系教会の聖職者には、腐敗を生じさせる以下の問題があります。
 
カトリック系教会は、妻帯を禁止しているという特徴があります。妻帯の禁止は、‘聖職者は、神様にのみにその全生涯を捧げて仕える’という目的において設けられたのですが、この制度は、‘悪用’されたことによって、歴史的に以下のような問題を引き起こすことになりました。
 
妻帯の禁止は、聖職者が子孫を持つことができないことを意味いたします。名門や富裕な家において非嫡出子が出生してしまった場合、将来にわたり嫡出子の立場を確固たるものとし、御家騒動や相続争いを防ぐために、非嫡出子を教会に入れて聖職者となして子孫を持たせないようにし、将来に禍根を残さないという方法が採られることになったのです。
 
もちろん、このような非嫡出子以外にも、相続権を持たない次男や三男なども教会に入って聖職者となる場合もありましたが、教会の聖職者には、概して非嫡出子の割合が大きかったと言うことができます。
 
この結果どうなったのかと言いますと、聖職者となった非嫡出子が、教会法などを利用して、嫡出子に対して攻撃を加えるようになってしまったのです。すなわち、非嫡出として出生した自らの運命を呪うと共に、嫡出子や‘暖かい家庭’に対して嫉妬した非嫡出子の聖職者たちが、相続に関する教会法を改正するなどして、嫡出子のスムーズな相続を困難となすような法制度をつくったのです。このため、ヨーロッパでは、多くの名家名門が断絶してしまったと言います。
 
孤児院に預けられたような孤児にも、非嫡出子が多かったはずです。「黒いユダヤ人」も、女奴隷の子孫という成り立ちの経緯から非嫡出子が多く、教会の聖職者と同様に、非嫡出である自らの立場を疎うとともに、嫡出子や‘暖かい家庭’を目の敵にしたはずなのです。
 
イエズス会内の親フランシスコ派などが「黒いユダヤ人」の謀略に同調した背景には、嫡出子への攻撃や家庭破壊という共通の目的があったと考えることができるでしょう。日本国でも、昨今、民法の非嫡出子の相続に関する規定が改正になりましたが、国際圧力である可能性も否定はできないように思えます。
 
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(続く)