時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

共産主義と孤児院との密接な関係

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。「黒いユダヤ人」勢力による‘成り済まし’作戦は、‘成り済まし要員’を養成する孤児院が無ければ成り立ち得ません。そこで、孤児院といいましたならば、教会の経営する孤児院がもっともポピュラーである点は注目されます。
 
マルクスは、プロテスタントの家に生まれながら、なぜかイエズス会カトリック系のギムナジウムに通っております。この奇妙な状況は、マルクスが、そもそもイエズス会系の孤児院から連れてこられた‘成り済まし’であると想定すると説明がつきますが、こうした孤児院と共産主義との関係を示唆する小説があります。
 
西暦1945年、第二次世界大戦末期に、ウィリアム・ゴールディングによって著わされた『蝿の王The Load of the Flies』という英国の小説があることにつきましては、以前に本ブログにて扱いました。この小説は、飛行機事故によって、太平洋の小さな無人島に漂着した数十人の少年たちのうち、世界に対する考え方や理想が対極にあると言えるほどに異なる二人の少年のうちのどちらが、島につくられた少年たちによるコミュニティのリーダーとなるのかが争われる、という内容の御話です。
 
少年たちによる選挙によってリーダーに選出されたラルフは、その理想を、飛行機事故以前に自らがあった社会、すなわち、文明・文化・教養・ヒューマニティを基盤とする快適で、洗練された文明社会に置き、大人たちのいない無人島のコミュニティにおいても、生活習慣を含めて、いかに文化・文明・教養・ヒューマニティを維持するのかに腐心することになります。大人たちがいないのですから、こうした維持には、限界があり、そこで、島の近くを航行する船舶に、少年たちの存在を発見してもらえるよう、狼煙の火を絶やさないという、文明社会への帰還をその政策として掲げます。
 
しかしながら、育ちがよく、洗練されたラルフを快く思わない粗野な少年、ジャックは、ラルフの政策に同意せず、その仲間たちとともに、ラルフのコミュニティから離れ、勝手に自らの勢力圏をつくり、文明社会への帰還を考えずに、その理想を原始時代に戻ることに置きます。文明社会へ帰還しますと、ジャックは、自らのグループの支配者ではなくなるわけですので、ジャックにとりましては、この島における原始的な生活の方が都合がよかったのです。そして、フェースペインティングを施して踊る催眠作用のあるような奇妙な野卑なダンスパーティーに他の少年たちを勧誘することによって、ジャックは自らの勢力を拡大させてゆくのです。小さな島は、一つしかないことから、この島におけるラルフとジャックの争いは、壮絶なものとなります。
 
この小説に登場するジャックは、教会の孤児院で育った少年です。‘赤毛’と‘そばかす顔’といった容姿の特徴からは、ジャックは、‘赤毛のアン’と同様にアイルランド系の教会の孤児院の出身者ということになりますが、アイルランドは、カトリックの強い地域です。このことから、ジャックは、イエズス会系の孤児院の出身者を象徴していると考えることができるのです。
 
そして、ジャックは、非文明世界を好み、小さな島を非文明世界と成そうとします。共産主義の真の目的は世界の非文明化である点は、再三にわたり指摘しておりますが、この小説の書かれた1945年は、まさに冷戦がはじまった年です。この点を踏まえますと、この小説の作者は、1945年当時の所謂’冷戦’の真の対立の構図は、文明対非文明にあることを見抜いていたと言えるでしょう。

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(続く)