時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

オーウェルの『動物牧場』と”ユダヤ人”支配

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。「豚」をめぐる小説と言いましたならば、『蠅の王』に加えて、ジョージ・オーウェルGeorgeOrwell(1903~1950年)の『動物牧場Animal Farm』が思い起こされることでしょう。『蠅の王』と同年、1945年8月に出版されたこの小説は、馬、牛、鶏などの様々な動物の暮らす‘ジョーンズさん’の牧場にナポレオンという名の豚が現れ、ナポレオンによって支配されるようになってしまった動物たちの間の独裁恐怖政治について扱っております。
 
豚がマラーノを意味していることを踏まえますと、動物たちの世界に置き換えるという表現手法によって、この小説もイエズス会や「黒いユダヤ人」組織の問題を表現している可能性を指摘することができます。では、まずもって、オーウェルはなぜ「黒いユダヤ人」の世界に対して、小説に書こうというインセンティヴを生じさせるほどの興味を持ったのでしょうか。この点、オーウェルの来歴は注目されます。
 
オーウェルは英国人の両親のもとにインドで生まれ、1922年から1927年にかけてビルマインド帝国警察the Indian Imperial Police in Burmaに勤めております。インドにつきましては、以下の点を指摘することができます。
 
①1877年にヴィクトリア女王が「インド皇帝」を称するようになったことから、ロスチャイルド家が勢力を伸ばしていた地域である(メンデルスゾーンロスチャイルド家のために作曲した『歌の翼』にガンジス川が登場する理由)。
②バグダット・ユダヤ出身の「黒いユダヤ人」のサスーン家が、インドの植民地化を担っていた東インド会社と結託して勢力を伸ばしていた地域である。
 
このように、インドは「黒いユダヤ人」組織が、支配を強めていた地域でした。6月16日本ブログにて述べましたように、インドのユダヤ人社会は、「白いユダヤ人」と「黒いユダヤ人」に分かれており、「白いユダヤ人」はヴァイシャというカーストのサブ・カーストに分類され、「黒いユダヤ人」である解放奴隷や現地や中近東・アフリカ出身の女性奴隷とのハーフは、シュードラというカーストのサブ・カーストに分類されたそうです(バラモン⇒クシャトリア⇒ヴァイシャ⇒シュードラアンタッチャブル)。そして、ヴァイシャより上の3カーストの子弟は、5、6歳で学問を始める通過儀礼をつうじて二度目の誕生を持つが、シュードラは、動物として生まれたままに止まるという区別があるそうです(『インド・ユダヤ人の光と闇』、頁152)。
 
「黒いユダヤ人」は、インドのカースト制度では動物階級に属する認識されていた点、そして、「隠れ黒いユダヤ人」とも言えるロスチャイルド家やサスーン家は、キリスト教世界におけるマラーノ(豚)のような存在である点を考えあわせますと、オーウェルは、「黒いユダヤ人」社会全体を組織支配するようになったロスチャイルド家やサスーン家を「豚」のナポレオンに喩えて小説に描いたと考えることができるのです。
 
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(続く)