時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イルミナティーと王室・皇室の結合がもたらす危機

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。イルミナティーの「選民思想」が貴族層と結びついた結果は、フランス革命前夜のフランス貴族の野蛮化・残忍化において認めることができますが、王室・皇室と結びついた場合には、それは、「王権神授説the doctrine of the divine right of kings」が齎している問題として表出していると言うことができるかもしれません。
 
「王権神授説」とは、国王は、神によって選ばれた統治者であるという説です。すなわち、ある特定の人物が王座にあって、特権を用いたり、人々を支配することができる理由を、‘神様によって選ばれた’とする点に求める思想が「王権神授説」なのです。『聖書The Bible』におきましては、サミュエルSamuelを通しての預言によって選ばれたとされるサウル王SaulB.C.1020-1004B.C.)が、圧政を敷いたため神の恩寵を失ったとして、ダヴィデ王DavidB.C.1004-965B.C.)へと変更されたという故事や、古代中国大陸において悪政を敷いた帝王は、天命を失ったとして、天命を受けた別の人物が帝位に就くとする天命思想においても認めることができます。本来、「王権神授説」は、善政を敷くことが可能な能力に長けた人物が王位に就くことを、神の摂理とする‘善なる神’による選定が想定されていることになります。
 
ところが、‘神’という存在は、目には見えませんし、ましてや、‘神によって選ばれた’という証拠を明確に示すことは不可能です。さらに、今日におきましても、様々な宗教において、様々な神々が崇拝されておりますように、君主や統治者を選んでいる神が、どのような神であるのか、不明な場合も少なくありません。ソロモン王Solomon(在位:B.C.965-932B.C.)が秘かに、モロコ神という動物的な邪神を崇拝していたことは、8月18日付本ブログで述べました。このことに示されますように、「選民思想」と同様に「王権神授説」におきましても、国王を選んでいる神は、どのような神であるのかは曖昧であり、仮に邪神であった場合には、国民に圧政を敷く可能性が高くなるのです。
 
邪神崇拝の「選民思想」が移入されることで、密かに選ぶ神が邪神に取り替えられ、「王権神授説」は、邪神によって選ばれた人物が王位に就くことを是とする思想に容易に変貌してしまうからです。この点を踏まえますと、特に、その存立の基盤を「王権神授説」に依っている王室・皇室が、今日、イルミナティーに乗っ取られている現象は、たいへん危険であると言うことができます。

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(続く)