時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イルミナティーの動物神崇拝の起源

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。イルミナティの下部組織である「荒くれ男」たちのV字形の顎鬚は、6大悪魔の一人、バホメットという男女両性具有の山羊神を象徴しています。バホメットは、イスラム教の教祖のマホメットに由来するとする説があり、以下の理由から、バホメットは、イルミナティーとユダヤ教、並びにイスラム教との間の密接な関係を表わしていると考えることができます。

1)バホメットとモロコ神とは同一、あるいは、同系統の神であると推測される。しかも、マックス・ヴェーバーの『古代ユダヤ教』によれば、特に北イスラエルでは、ヤㇵウェ、バール神、並びに、モロコ神はしばしば習合し、同一視されていた。特に後者の2神は動物神であること、並びに、子供を生贄に捧げる等、神の性格が類似しており、”バホメット”こそ、ユダヤ教に入り込んだアニミズム的原始宗教の象徴であるのかもしれない。

2)14世紀、テンプル騎士団Knights Templarが密かに崇拝していた悪魔はバホメットとされている。11世紀末から13世紀にかけての十字軍時代、テンプル騎士団エルサレムにあって、何らかの重大な秘密文書を発見したとされる。マホメットもまた、イエルサレムで啓示を受けたとされており、同一の文書を呼んだのかもしれない。その文書は、ユダヤ教バール神やモロコ神といった異教の神との関係に関するものであり、マホメットが影響を受ける一方で、テンプル騎士団も、密かにバホメットを崇拝するようになった可能性も否定できない
 
3)ガブリエル・ローナイ氏の『The Tartar Khan’s Englishman』によると、13世紀にモンゴル側の外交官となったマスター・ロバートは、テンプル騎士団に所属していた。本年3月18日付本ブログで述べたように、マスター・ロバートは、英国のジョン失地王が、1213年にイベリア半島のモロッコの王国に派遣した外交使節団にその名が見える。その際、モロッコ国王からロバート一人が特別に厚遇されていることから、ロバートは、イスラム教世界と親しかったと考えられる。通訳を通さずにモロッコ国王と会見していることは、ロバートが、元はイベリア半島イスラム教徒であった可能性すら示す(ちなみに、山羊皮を「モロッコ皮」と言う)。聖オーバンス教会の年代記編者によると、「with a face like a Jewユダヤ人のような顔をしていた)」とされていることから、ロバートは、西アジア出身のスファルディーであったと推測される。そのロバートは、モンゴルに入る前まで、悪魔的タルムードが多くつくられたとされるバビロニアに長く滞在している。バビロニアユダヤ・ネットワークの中心地であったとすると、バホメットの頭文字のBは、悪魔的なタルムードが発達したバビロニアに由来しているのではないだろうか。マホメットバビロニアBabyloniaが融合して、バホメットとなったのかもしれない。

4)チンギス・カーンは、ユダヤ商人やイスラム商人を区別せずに厚遇し、そのアドヴァイスに従ってモンゴル帝国を建設している。チンギス・カーンの顎鬚が、山羊髭の典型であるところも気にかかる。また、”青き狼”を祖とするチンギスは、凶暴で残忍なアニミズムに対して親近感を懐いていたかもしれない。
 
これらの点から、イルミナティーが崇拝しているバホメットとは、古来よりあった動物神の悪魔であり、特に、イスラム教とユダヤ教において密かに共通して崇拝されてきた悪魔であると推測することができるのです(あるいは、改宗ユダヤ人のなかにも、密かなバホメット信者がおり、マルクスがその典型であると言えるでしょう)。
 
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(続く)