時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

バホメットとイエズス会との関係:黒マリアはバホメット?

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。「バホメットBahomet」という山羊神の悪魔と、イルミナティーを構成している主要勢力の一つであるイエズス会との関連は、「バホメットBahomet」が両性具有であり、しばしば、‘聖母マリア’との関連を指摘されている点に窺うことができるかもしれません。
 
聖母マリアの象徴であるフルール・ド・リスを上下にひっくり返すと、「メンデスのバフォメット」の頭部になり、これは聖母マリア(に代表される「大地母神=天の女王」の系譜の女神)とバフォメット(=悪魔)が、表裏一体の同一の存在であることを示しているそうです。またバホメットは、「聖母マリアグノーシス主義の女神ソピアー(ソフィアー)」であるという指摘があります。
 

死海文書the Dead Sea Scrolls』の研究者であるヒュー・ショーンフェルドHughJ. Schonfield (1901–1988)は、その著書『The Essene Odyssey』にて、「バフォメットBAPHOMET」は「 SOPHIA(英知もしくは英知の女神ソピアー)」のアトバシュ(Atbashヘブライ文字の換字式暗号)だという説を唱えております。

 
Wikipediaによりますと、キリスト教の異端的一派であるグノーシス主義は、地上の生の悲惨さの理由を、この宇宙が「悪の宇宙」であることに求めております。すなわち、現象的に率直に、真摯に、迷妄や希望的観測を排して世界を眺めるとき、この宇宙はまさに「善の宇宙」ではなく「悪の宇宙」に他ならないという考えが、グノーシス主義の世界観なのです。この「悪の宇宙」をつくり、その支配者となったのが、ヤルダバオートJaldabaothという名の「偽の神」なのですが、そのヤルダバーオートを作り出したのが、女神・ソフィアであるとされているのです。
 
イエズス会が、秘かに黒マリアを信仰している点は、本ブログにおきまして、再三にわたって指摘しておりますが、グノーシス主義を踏まえますと、裏聖母マリアとも言える「黒マリア」とは、ソフィア、すなわち、「バフォメットBAPHOMET=悪魔」のことであると推測されてくるのです。

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(続く)