時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ラビン首相暗殺事件と「黒いユダヤ人」の国際組織

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。今日は、第六代と第十一代首相を務めたイツアーク・ラビンYitzhak Rabin氏の命日にあたります。氏は、1995114日、テルアビブで催された平和集会に出席した際に、和平反対派のユダヤ人青年イガール・アミルから至近距離より銃撃されて死亡しております。犯人のイガール・アミルYigal Amir は、「イエメニティ・ジューイッシュYemenite Jewishfamily」と称されているイエメン出身の‘ユダヤ人’であることには注目すべきであるかもしれません。

 
イエメニティ・ジューイッシュは、アラビア半島南端のイエメンに、紀元前9世紀のソロモン王の時代頃より住んでいたとされる‘ユダヤ人’でありますが、イエメン人の一部族が改宗したとする説がありますように、民族的にはアラブ系であり、文化的にもイスラム教と近い関係にある人々です。
 
イガール・アミルは、親アラブのバル・イラン大学で法学とコンピュータ科学を学んでいることからも、「黒いユダヤ人」であると考えることができます。Wikipediaによりますと、「ラビン首相死去の報に接すると、アミルはただ「満足」だと言った。公判で、アミルはラビン首相殺害の理由について「神の律法によれば、ユダヤ人の土地を敵に渡してしまう者は殺すべきことになっている」と語った(なお、ユダヤ人がユダヤ人を殺すことは、ハラハーでは禁じられている)」そうです。アミル氏のこの言動は、自己矛盾としか言いようがないのですが(”二重思考”か?)、「白いユダヤ人」と「黒いユダヤ人」のメンタリティーの違いと対立の深さを示していると言えるかもしれません。
 
まったく正反対の思想と性格を有する2種類の人々が‘現代ユダヤ人’を構成しており、「白いユダヤ人」は親キリスト教、「黒いユダヤ人」は親イスラム教といった特徴があり、両者は対立しているようなのです。例えば、2002年のIQテストの結果において、イスラエルの成績が振るわなかった原因について、「白いユダヤ人」であるアシュケナージ系の人々が、「黒いユダヤ人」のIQが低いことをその理由として挙げたことにも、両者の対立を窺うことができます。
 
イガール・アミルは、「黒いユダヤ人」の国際組織に属する‘イエス・マン’であり、対アラブ強硬派の右派を装うことで、ラビン氏の進めていたパレスチナにおけるユダヤ人とパレスチナ人の共存という構想を壊し、中東における紛争の拡大を狙ったのではないか、と推測することができるのです。

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(続く)