時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イスラエルの歴代首相はすべて「白いユダヤ人」

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。ケネディ大統領暗殺事件に、‘ユダヤ人’内部の対立問題、すなわち、白いユダヤ人と黒いユダヤ人の対立問題が絡んでいることについて検証を加えるにあたり、イスラエルという国家が、「白いユダヤ人」と「黒いユダヤ人」のどちらの影響の強い国家であるのかを、確認しておくことは、有益であるかもしれません。
 
イスラエルの第一代首相と第三代首相を務めたダヴィド・ベン=グリオンDavid Ben-Gurion氏(18861016 - 1973121日)は、ポーランドのプロニスク生まれですので、アシュケナージ系の「白いユダヤ人」であったと考えることができます。
 
第二代首相のモシェ・シャレット Moshe(h) Sharett氏(18941015 - 196577日)も、当時ロシア帝国の一部だったウクライナのヘルソンで生まれておりますので、シャレット氏も同様にアシュケナージ系です。
 
 第四代首相レヴィ・エシュコルLevi Eshkol氏(18951025 - 1969226日)は、ウクライナ(当時はロシア帝国領)のキエフ県で生まれておりますので、アシュケナージ系の「白いユダヤ人」と推測されます。
 
 第五代首相のゴルダ・メイアGoldah Me'ir, Golda Meir氏(189853 - 1978128日)も、ロシアのキエフ(現在はウクライナ領)生まれですので、アシュケナージ系なのでしょう。
 
 第六代と第十一代首相を務めたイツアーク・ラビンYitzhak Rabin (1922年3月1日― 1995年11月4日)はアシュケナージユダヤ人が多く居住する ウクライナからエルサレムに移住したユダヤ人家庭に生まれています。
 
 第七代首相のメナヘム・ベギンMenachem Begin氏(1913816 - 199239日)も、ロシア領(現ベラルーシ領)ブレスト・リトフスクに生まれですので、アシュケナージ系の白いユダヤ人と考えられます。
 
第八代と第十代の首相を務めたイツハク・シャミルYitzhak Shamir氏(19151015 - 2012630日)は、ロシア帝国ルジャナ(Różana、その後ポーランド領、ソビエト連邦領を経て、現在はベラルーシ領)で生まれ、1935年にパレスチナに移り住んでおります。この経歴からすれば、氏もまた、アシュケナージ系の「白いユダヤ人」との系統に属するのでしょう。
 
第九代と第十二代首相を務めたシモン・ペレスShimon Peres, 192382日-2016928日)は、ポーランドのヴィシェニェフ(現在ベラルーシの一部)の中で生まれておりますので、アシュケナージ系の白いユダヤ人と推測されます。
 
第十三代首相であって現首相であるベンヤミン・ネタニヤフBenjamin Netanyahu1949年)は、ベン=シオン・ネタニヤフとジラ・ネタニヤフ夫妻の次男としてイスラエルで生まれており、父親のベン=シオンはロシア姓をミリコウスキー(Milikowsky)といい、1910年に、旧ロシア帝国ポーランドワルシャワで生まれております。このことから、おそらくネタニヤフ氏もアシュケナージ系です。
 
十四代首相のエフード・バラックEhud Barak氏(1942212 - )の両親は、帝政ロシア時代のリトアニア出身です。バルト三国にはユダヤ人が多く居住していた歴史があり、同氏も、アシュケナージ系なのでしょう。
 
第十五代首相のアリエル・シャロンAriel Sharon928226 - 2014111日)は、イギリスのパレスチナ委任統治時代の1928年、パレスチナキブツ(集団農場)であるクファル・マラル村にウクライナ系移民の長男として生まれております。
 
そして、第十六代首相のエフード・オルメルトEhud Olmert1945930 - )の両親は、ウクライナとロシアからイスラエルに移住しておりますので、アシュケナージ系の「白いユダヤ人」と考えられます。
 
 このように歴代のイスラエル首相の出自を調べてみますと、ポーランドウクライナ、ロシア、ベラルーシリトアニアといったように、全員がアシュケナージ系「白いユダヤ人」が多数を占めていた居住地域の出身者であることがわかります。この点から、イスラエルという国家は、「白いユダヤ人」の影響の強い国家であると推測することができます。

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(続く)