時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

シャーロック・ホームズシリーズは親イルミナティー文学?

  今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。まず、初めに、アラン・ピンカートンは、1884年には死去しており、1894年に“H.H.ホームズ”を追跡したのは、アラン・ピンカートン自身ではなく、その後継者であるピンカートン探偵社内のイルミナティーのメンバー、恐らくは、アラン・ピンカートンの子息であるウィリアム・ピンカートンWilliam Pinkertonであったと考えられることをお詫びするとともに、訂正いたします。
 
そこで、Wikipedia(英語版)によりますと、ウィリアム・ピンカートンとコナン・ドイルは、大西洋航海中の客船上で会ったことがあり、その際に、ピンカートンから聞いた話から、ドイルが『恐怖の谷The Valley of Fear』という作品を執筆し、1914年に発表していることが注目されます。この作品も『緋色の研究』と同様に2部構成で、英米2ヶ国を舞台としております。Wikipedia(日本語版)によりますと「第1部で事件の概要と解決に至るまでのホームズの推理を、第2部で事件の背景となった「恐怖の谷」と呼ばれるアメリカの炭鉱街・ペンシルベニア州ヴァーミッサ峡谷(Vermissa)での事件を記している。日本語訳版では1部と2部の掲載順が逆になっているものもある」そうです。
 
その炭鉱街で起こった事件は、実際に米国であった事件です。「1870年代、フィラデルフィア・アンド・レディング鉄道社長のフランクリン・B・ガウエン(Franklin B. Gowen)は、会社が経営するペンシルベニア州ポッツヴィルの炭鉱の、労働組合の内部事情を調べるため、ピンカートン探偵社を雇った。探偵ジェームズ・マクパーランド(James McParland)はジェームズ・マッケンナという偽名を使って秘密結社「モリーマグワイアズ」(Molly Maguires)に潜入し、組織を瓦解させた」という事件です。
 
『恐怖の谷』の主人公は、秘密結社の「モリーマグワイアズ」に命を狙われている「ジョン・ダグラス」という人物であり、そのモデルがピンカートン探偵社のジェームズ・マクパーランドなのです。ダグラス(マクパーランド)が労働組織を瓦解させたことを恨んだモリーのメンバーが英国に渡って、ダグラス(マクパーランド)の命を20年間も執拗に狙い続けており、ホームズは、その殺害予告の手紙を受け取ったことから、ダグラスの屋敷に駆け付けますが、ダグラスは、既に何者かによって殺害されています。この小説の結末は、殺害されたように見せかけて、モリーの手から逃れようとしていたダグラスが、シャーロック・ホームズによって生きていることが明らかにされるというもので、再び、命の危険に晒されるようになったダグラスは、逃亡を余儀なくされるのです。
 
モリーマグワイアMolly Maguiresは、実在しているアイルランドカトリック系の秘密結社であり、社会・共産主義運動組織と言うことができます。社会・共産主義運動が、イルミナティーによって先導されていることは、再三にわたって本ブログにおいて指摘している通りであり、ホームズは、『緋色の研究』と同様に、この小説においても、間接的に、反イルミナティーの人物を窮地に陥らせていることになります。


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(続く)