時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

英国フリーメイソンはいかにしてイルミナティーに乗っ取られたのか

  今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。メアリー・シェリーの『フランケンシュタインFrankenstein』(原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウスFrankenstein: or The ModernPrometheus』)がイルミナティーに題材を採っていることは、英国におけるイルミナティーの出現の経緯を知るヒントとなるかもしれません。
 
フランケンシュタインFrankenstein』に登場する怪物は、様々な死体の部分部分を繋ぎ合わせてつくったという統合・複合体です。こうしたキメラ的な怪物の誕生過程は、今日、遺伝子操作によって様々な生物の遺伝子を寄せ集めて新種の生物をつくることができることを想起させます。しかし、理論的にはつくることのできる新種の生物でも、人類にとって脅威となる可能性がある場合は、こうした遺伝子操作は、医学界における倫理規定において禁止されております。例えば、ライオンと人間の遺伝子を組み合わて新種の生物を造ったとすれば、それは、人間として扱うべきであるのか、動物として扱うべきであるのか、大きな問題となってしまうことでしょう。
 
このように、異生物種を組み合わせた結果が、必ずしも良い結果を生まない、むしろ、極めて問題となるような結果をもたらすことが想定される場合があるのです(この点、ヘーゲルの「止揚説(Aufheben)」の逆パターン…)。そして、組織にもまた、同じことが言えるかもしれません。
 

メアリー・シェリMary Wollstonecraft Godwin Shelley 1797年– 1851)の時代は、英国に以前からあった2つのロッジが統合され、1813年に「ユナイテッド・グランド・ロッジ・オブ・イングランドthe United Grand Lodge of England」、すなわち、「ザ・モダーンズthe Moderns」が設立された時代でもあります。その経緯は、以下のように推測することができます。

 
シェリー女史のパトロンとも言えるジョージ・バイロン卿の大伯父であるウィリアム・バイロン1722 - 1798年)が、2つのロッジのうちの一つで、1751年から1813年までの間、存立していた英国フリーメイソンの「首位グランドロッジGrand Lodge to the Premier Grand Lodge of England」のグランドマスターを務めておりました。しかしながら、極めて活動に不熱心であったため、瓦解寸前の状況となっていたようです。このことから、「首位グランドロッジ」は、10世紀から存立していたもう一つのロッジと1813年に統合されたようなのです。
 
仮に、ジョージ・バイロン卿が、「首位グランドロッジGrand Lodge to the Premier Grand Lodge of England」のグランドマスターの地位を大伯父から引き継いでいたと仮定いたしますと、まさに、ジョージ・バイロン卿こそが、「ザ・モダーンズthe Moderns」をつくったと言えるかもしれません。そして、バイロン卿には、以下の特徴を指摘することができます。

無神論者に近い文学サークルに属していた。
イスラム色が強い(バイロン卿の肖像としてよく知られている肖像画で、バイロン卿は頭にターバンを巻いている)。
③スイス・ジュネーヴ近郊のレマン湖畔に別荘、ディオダティ荘Villa Diodatiを借りており、『フランケンシュタインFrankenstein』も、この別荘で書かれたのであるが、ジュネーブには、第二次世界大戦前には国際連盟の本部が置かれたロスチャイルド家のシャトー・ド・プレニーがあるなど、ロスチャイルド家との関連の強い都市である。
 
これらの3点から、バイロン卿とイルミナティーは、極めて近い関係にあったと考えることができます。仮に、バイロン卿が「首位グランドロッジ」のグランド・マスターとなっていたと想定しますと、2つのロッジが統合され、「ザ・モダーンズthe Moderns」が成立した際にイルミナティー色が極めて強くなり、その性格と活動目的は、キリスト教精神から離れ、『フランケンシュタインFrankenstein』の怪物のようになっていたのではないかと推測することができます。
 

このように考えますと、シェリー女史の『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウスFrankenstein: or The ModernPrometheus

』は、‘内部暴露本’であったのかもしれません。

 

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

 

[https://blog.with2.net/link/?626231 人気ブログランキング]

 
(続く)