時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

マリー・アントワネットの服飾文化活動を嫌ったイルミナティー

  今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。本日は、フランス王家を滅ぼしたイルミナティーの4つの目的のうち、服飾文化の衰退という目的について考えてみることにしましょう。
 
古今東西、王侯貴族から庶民にいたるまで、一般的に、おしゃれ、すなわち、服飾文化は大きな関心事です。服飾文化の如何によって、その国の文化程度が測られる場合もあると言うことができるでしょう。ところが、世界には、このような服飾文化を好まない思想があるようです。こうした思想は、フランシスコ派の創始者であるアッシジの聖フランチェスコFranciscus Assisiensis1182 75 - 1226103日)の思想、すなわち、「フランチェスコは貧しさを礼賛することにかけては徹底しており、物質的な豊かさのみならず、精神的ないし知的な豊かささえも認めなかった」という思想に代表されます。
 
服飾文化を否定するこのような思想の存在は、人類の歴史を振り返りますと、2枚のシャツしか持たなかったというチンギス・ハン、国民全員におよそお洋服とは言えないような同一の人民服のみを強要した中国共産党政権やカンボジアポルポト政権、さらには、70年代のヒッピー文化においても見て取ることができるでしょう。
 
では、イルミナティーはどうかと言いますと、イルミナティーは人類の非文明化・動物化・家畜化を目的として、活動している秘密結社ですので、服飾文化を否定する思想を持っているようです。そこで、イルミナティーは、マリー・アントワネットの服飾文化活動を嫌い、フランス王家、特に、マリー・アントワネットを排除することで、人類の非文明化・動物化・家畜化というその目的を達成させようとしたと推測することができます。
 
この点も、チャールズ・ディケンズCharles John Huffam Dickensが、ジャーナリストの視点からフランス革命を描いた小説『二都物語A Tale of Two Cities』(1859年)は参考になります。物語の最後は、主人公のチャールズ・ダウニーの身代わりに、その‘そっくりさん’のシドニー氏が、断頭台に送られることになるというものなのですが、そのシドニー氏と手に手を取って一緒に断頭台に向かうのは、護送車に同乗していた御針子さんなのです。服飾文化の担い手であり、お洋服をつくっていた女性が、革命政府によって逮捕され、断頭台に送られるという物語のラストは、イルミナティーによるフランス革命の目的の一つが、服飾文化の破壊による人類の非文明化・動物化・家畜化にあることを示唆していると言えるのではないでしょうか。
 
ディケンズは、小説の最後をこのように設定することによって、イルミナティーの本質を描きたかったのかもしれません。

 
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(続く)