時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「ラウンドルフ氏ルイ17世説」から見えてくるイルミナティー効妙な戦術の恐怖

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。「ラウンドルフ氏ルイ17世説」の問題は、ラウンドルフ家という一家の私的出自問題の解明と言うよりは、イルミナティーの巧妙な戦術の解明に役立つようです。
 

チャールズ・ディケンズCharles JohnHuffam Dickensが、ジャーナリストの視点からフランス革命を描いた小説『二都物語A Tale of Two Cities』(1859年)は、チャールズ・ダウニィというフランス貴族のフランスからイギリスへの逃亡問題をテーマとした小説です。

 
主人公のチャールズ・ダウニィさんは、品行方正で善良であり、啓蒙思想の持ち主でありながらも、暴虐な領民支配によってその悪名が知れ渡っていたフランス貴族の家に生まれたために、ギロチンに送られることになります。そのダウニィさんには、シドニーさんというそっくりさんがおりました。シドニーさんは、いわゆるならず者であったのですが、ダウニィさんの夫人であるルーシー嬢に密かに思いを寄せており、ダウニィさんを助けようとして、ダウニィさんの処刑前夜に監獄に忍び込み、ダウニィさんと入れ替わります。この結果、シドニーさんはギロチンにかかり、ダウニィさん一家はイギリスへ逃亡することができることになるのです。
 
昨日、「この問題を、逆パターンに置き換えて、密かに表現したのが、チャールズ・ディケンズCharles John Huffam Dickensが、ジャーナリストの視点からフランス革命を描いた小説『二都物語A Tale of Two Cities』(1859年)である気がいたします」と述べました。ルイ17世の場合は、本者が亡くなり、偽者が生き残ることになったのではないか、と推測することができますが、『二都物語A Tale of Two Cities』では、本者が生き残り、偽者が亡くなるのです。ジャーナリストのディケンズが、仮に、「ラウンドルフ氏ルイ17世説」の真相を知っていたといたしますと、『二都物語A Tale of Two Cities』には、裏の裏があるような気がいたします。
 
すなわち、シドニーさんが、ダウニィさん一家の前に現れて、「自分は、監獄でシドニーさんと入れ替わったダウニィである」と主張した場合、両者はそっくりですので、ダウニィさん一家は、シドニーさんをダウニィさんであると思い込む可能性があると言うことができます。行間から小説の結末は、ルイ17世と同様に、本者が亡くなり、偽者が生き残ることになったとも解釈することができるのです。ディケンズ氏は、「ラウンドルフ氏ルイ17世説」から見えてくるイルミナティーの常套手段から着想を得て、『二都物語A Tale of Two Cities』を著わしており、その際に、本者が亡くなり、偽者が生き残ることになったという点を曖昧としたのではないか、と考えることができます。
 
「ラウンドルフ氏ルイ17世説」を世に広めた英国ロンドンの出版社から出版された書籍は、1809年から1812年にかけて首相を務めておりましたスペンサー・パーシヴァル卿Spencer Perceval 1762 – 1812)の甥であって、バッキンガムシェアのカルヴァートン司教であったチェールズ・G.パーシヴァルCharles G. Percevalによってドイツ語から英語に翻訳されておりました。この点も、「ラウンドルフ氏ルイ17世説」の信憑性を高める結果となったようなのですが、パーシヴァル首相は、英国史上、暗殺された唯一の首相である点が気に掛かります。暗殺者は、ジョン・ベルリンガムJohn Bellingham (1769 – 18 May 1812)であり、ロンドン育ちで宝石商に見習いを勤め、ロシアに滞在して交易していた経歴のある人物です。「黒いユダヤ人」との繋がりを推測させる経歴であり、「Bellingham」という苗字は、ベルリン出身であった可能性を示唆させます。ラウンドルフ氏が、ベルリン出身であった点を踏まえますと、ベリンガムとラウンドルフ氏は何らかの関連があるのかもしれないのです。すなわち、両者はイルミナティーであったのではないか、と推測することができるのです。
 
おそらく、パーシヴァル首相は、イルミナティーによって暗殺されていたことから、甥のチェールズ・G.パーシヴァルも、イルミナティーからの暗殺を恐れて、イルミナティーが「ラウンドルフ氏ルイ17世説」を世に広めるのに協力したのではないかと考えることができるでしょう。
 

このように推測いたしますと、「そっくりさん」を作り出し、さらに、裏の裏をかくというイルミナティーの巧妙な常套手段の恐怖が見えてくるのではないでしょうか。


 

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(続く)