時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

元徴用工の未払い賃金は韓国政府が払うべき

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。日韓併合によって一方的に日本側に齎された不利益は、日本側から李氏朝鮮側への財政移転問題に留まりません(日韓併合によって、所謂“李氏皇室”は廃止されたとされているが、廃止されたわけではなく、なぜか、大日本帝国の“準皇族”という奇妙な形で残されたことから、李氏朝鮮は存続していたとも捉えることもできる)。民間投資の問題も指摘することができるのです。
 
日韓併合により、所謂ジャパン・マネーの多くは、朝鮮半島に投資されることになりました。代表的な事例としては、南満州鉄道があり、建設当初の資本金の2億円のうち、1億円は日本政府の出資でしたが、残りの半分は、民間によるものでした。満鉄は、鉄道の敷設に留まらず、沿線各地域における上下水道や電力、ガスの供給、さらには港湾、学校、病院、図書館などのインフラストラクチャーの整備も進めました。
 
また、日窒コンツェルンの出資によって、鴨緑江水系の赴戦江発電所、水豊ダム、華川ダムなどの大規模な水力発電所や、咸鏡南道興南(現・咸興市の一部)における巨大なコンビナートなども建設されるようになりました。
 
こうした民間資本によって建設された施設の多くが、日本国内のインフラ整備とは無関係の施設であり、朝鮮半島や中国大陸北部(満州国)の現地の人々のニーズや生活環境の改善にあわせた社会インフラの役割を持つものが多かったことは注目されます。すなわち、朝鮮半島から中国大陸北部の地域における社会インフラは、日本からの民間投資によって成り立っていたと言っても過言ではないのです。
 
従いまして、1945年の終戦の際に、かくも莫大な日本側からの民間投資資金の日本への返還・賠償は大きな問題となります。本来は、韓国側が日本国政府や日本企業・個人からの賠償請求に応じ、日本企業に対して返還・賠償すべき民間投資資金なのですが、朝鮮戦争の最中にあった韓国の経済破綻を怖れた米国の介入により、1950年に「日韓請求権協定」が結ばれ、日本政府並びに日本企業・個人は、韓国側に対する賠償請求権を放棄することになってしまったのです。日本側から見ますと、莫大な投資は、すべて、韓国・朝鮮・中国側に吸い取られてしまったことになります。一方、韓国・朝鮮・中国側から見ますと、いわゆる無料で、これらの莫大な社会インフラを取得したことになります。
 
そのかわりに、「日韓請求権協定」によって、仮に、韓国企業や個人から日本側に対して何らかの請求があった場合には、韓国政府が韓国企業に賠償金を払うことが取決められました。今般の徴用工問題は、まさに、この「日韓請求権協定」の適用を受けるものであり、韓国政府が、元徴用工に対して未払いの給与を支払わなければならないのです。
 

すなわち、不幸な日韓関係の理由には、日本側の投資のすべてが、いわば、韓国側に無料で取られていたことにあります。これに輪をかけて、韓国側が、「日韓請求権協定」に違反しておりますので、日韓関係が破綻するのも無理はないということになるのでしょう。


 

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(続く)