時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

なぜ海軍と陸軍は対立したのか

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。『大日本帝国憲法』におきまして、天皇に陸海軍の統帥権があると明記されながら、実際には、統帥機能が機能不全に陥っており、陸軍と海軍の対立から、戦争を続ければ続くほどに、自軍並びに自国の被害が大きくなってゆく構造となっていたことは、ガダルカナル島に続く硫黄島、レイテ島、ミャンマー、そして、沖縄における戦闘の被害の大きさによっても立証されていると言うことができるかもしれません。
 
そもそも、日本は島国ですので、海外に陸軍を含む軍隊を展開したい場合には、どうしても海軍との共同作戦が必要です。このことから、陸軍と海軍の対立は致命的であったと考えることができるのです。その原因の一つは、なぜか、常に陸軍側の人的被害が大きいという点を挙げることができるかもしれません。日露戦争の際も、旅順の203高地占領作戦において、陸軍第7師団(旭川)が、15,000人ほどの兵力を5日間で約3,000人にまで減少させる大きな被害を受けた一方で、日本海海戦日本海軍は、ほとんど無傷とも言える状態で勝利しております。ガダルカナル島でも、ガダルカナル島沖で、海軍は久しぶりの戦果を挙げ、日本において華々しく大々的に報道された一方で、陸軍は、一木隊の全滅という憂き目にあっていたのです。
 
8月11日のNHKのドキュメンタリーによりますと、陸軍が海軍への不審を強め、海軍によって「見殺し」にされることを憂慮していたようです。すなわち、海軍と陸軍の対立は、海軍の作戦立案の姿勢が秘密主義であり、陸軍の将兵の命がかかわる深刻な問題であったがゆえに、簡単には解消され得なかったのではないかと推測することができるのです(一木隊は、特に精鋭部隊として知られていた優秀な部隊であったにもかかわらず、海軍は、一木隊の全滅が必至の計画を秘かに立案)。他にも、イルミナティーが、海軍と陸軍のどちらにより強い影響力を持っていたのか、など様々な原因が考えられるでしょう(真珠湾攻撃の立案者である山本五十六海軍大将は、イルミナティーのメンバーであったとする説もあります)。
 
いずれにいたしましても、第二次世界大戦の真相を明らかとし、歴史の教訓といたしますためには、旧日本軍の構造につきましては、より検証を進める必要がある気がいたします。

 
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(続く)