時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

戦後の占領政策はアメリカ単独ではない?

 終戦以来、日本国では、戦後の基本的な国家体制を形作ったのは、太平洋戦争(大東亜戦争)を戦ったアメリカである、と信じられてきました。戦争でアメリカに負けたのであるから、当然に、アメリカの占領政策を受けたのである、と。

 この考え方には、一つの見落としがあります。それは、GHQとは、連合国の最高司令官総司令部のことであって、必ずしも、GHQアメリカではないことです。もちろん、米軍のマッカーサー将軍が総司令官であったことが示すように、占領において、アメリカが主導的な立場にあったことは確かです。しかしながら、1945年12月に、連合国を引き継いだ国連において極東委員会が発足した後には、アメリカ政府は、その意向を完全に無視して占領政策を遂行することはできなかったと言います。

 我が国の来し方を省みるとき、連合国の二重構造について考えてみることは、決して無駄なことではないと思うのです。何故、自由主義国の一員となったはずの日本国の体制に、かくも社会・共産主義的な要素が多く滑り込まされたのか、それを解明する一つの手がかりとなるかもしれないのですから。