時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

参議院の存在意義を問う

 国家の仕組みとは、ついつい、現状を当り前のことのように捉えがちです。日本国の両院制についても、おそらく、これまでその存在意義を疑った人はそう多くはないかもしれません。

 両院制の原型を歴史に尋ねますと、1)古代ギリシャ・ローマ時代のアレオパゴス会議や元老院といったお目付け役、2)中世の身分制議会、3)連邦制度における地方政府代表、といった幾つかの起源があります。これらの類型に、現在の参議院をあてはめようとしましても、実は、どれにも該当しないのです。良識の府と言われながら、お目付け役にしては議員の資格や知識・経験は問われませんし、身分を代表しているわけでもありませんし、日本国は連邦制でもありません。

 はたして、現代の日本国における参議院の存在意義とは何なのでしょうか。郵政民営化法案や今回の選挙結果は、この参議院の存在意義、ならびに改革を問う、良い機会になるのではないか、と思うのです。