時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

信頼性を欠いた平和運動

 戦争の悲惨さについては、書物や映像を通して誰もが良く知っており、今日では、平和は人類共通の願いとなっています。しかしながら、いざ、平和運動、あるいは、反戦運動ということになりますと、何故かみな、一歩引いてしまうのです。

 その最大の理由は、イデオロギー団体が主導する平和運動には信頼性が欠けているからです。これは、運動員の人々が、心から平和を祈っているのではなく、自らの信奉するイデオロギーを共にする国家のために、殊更熱心に反戦を唱えているのではないか、という疑いでもあります。かつては、ソヴィエト連邦コミンテルンの工作活動が有名でしたし、今日では、中国や北朝鮮などが暗躍していると考えられるのです。

 平和のために運動しているつもりが、いつのまにか、外国によって、自国と同朋を裏切る行為をさせられているとしたら、これ程、不本意なことはありません。イデオロギーを担いだ平和運動に参加している人々は、この疑問に対して、何と答えるのでしょうか。