時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日英同盟に学ぶ日米同盟の行方

 しばしば、戦前の日本国の孤立化の一端は、1921年日英同盟の解消にあったと言われています。この日英同盟の前例は、現在の日米同盟の行くへを考えるに際しても、何か重要な示唆を与えているように思われるのです。

 そもそも、日英同盟の解消とは、1921年の開催されたワシントン会議において決定されたものです。しかも、この同盟関係の解消は、単なる条約破棄や期限終了とは異なり、同同盟の代替として、四カ国条約がイギリス、フランス、アメリカ、日本の間で結ばれることになりました。この四カ国条約は、二国間ではなく多国間の国際協調体制という衣を纏いながら、実際には、軍事同盟的な色彩は希薄であり、もちろん、実行力を伴うものでもありませんでした。

 この結果、日本国は、やがてナチス・ドイツと組まざるを得ない状況に陥ることになるのですが、このことは、必ずしも多国間協調体制のほうが二国間同盟よりも安全、かつ、確実であるとは限らないことを示しています。現在、民主党は、我が国の安全保障政策を、国連中心主義の方向にむけて進めようとしているように見受けられますが、果たして、この方向性は、日本国の安全を高めることになるのか、大いに疑問のあるところなのです。