時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ミサイル防衛システムは国際秩序を変える

 リアリストは、国家間の関係は、軍事力、つまり軍事バランスによって大きく左右されるという見方を採ります。このリアリストの見解に否定的な方もおりましょうが、一方、この見方が、全てとは言わずとも、現実の一面を描き出していることもまた確かです。

 このリアリストの見解に基づきますと、核兵器が登場した時、国際秩序は、大きく変化したことになります。それは、米ソを筆頭とした核保有国が圧倒的な軍事力を獲得し、国際秩序は、大量の核兵器保有する両超大国を中心に再編されることになったからです。そうして、核保有国が増加した現在では、冷戦当時よりも、より多極化した世界が現われていると言えるかもしれません。

 ところで、軍事力を基準に考えますと、来るべき国際秩序の転換点は、ミサイル防衛システム(MD)が完成した時、ということになります。MDは、核やミサイル攻撃を無力化し、”矛”ではなく”盾”において軍事バランスを根底から覆すからです。ミサイル防衛の研究・開発は、我が国の運命をも定めるものとなりましょう。