時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国会議員は、そして誰もいなくなる!?

 ここ数カ月の間に、閣僚に就任した国会議員の方々が、会計上の不祥事を理由に辞任するという事件が何度も繰り返されており、こうした辞任騒ぎは一向に収まる気配がありません。このままでは、全ての閣僚が辞職をしなくてはならないような勢いです。

 ところで、今般の辞任騒ぎには、二つの見方があります。ひとつは、日本国の政治倫理を確立するために、避けては通れない政治浄化のプロセスとしての辞任の慣例化です。閣僚としての資質や行動規範が問われたわけですから、今後においては、不正を働くことへの強力な抑止力となりましょう。

 もうひとつは、政治的追い落とし、というあまり芳しくない見方です。この見方からしますと、同罪の人が多くありながら、一部の人だけが、政治的な理由によって不正が明らかにされ、辞任に追い込まれたことになります。この場合には、必ずしも政治の浄化に繋がらず、むしろ、悪しき慣例になるかもしれません。かつて、古代アテネでは、独裁者の出現を阻止するための設けられた”陶片追放”の制度が、政治的ライバル追放に利用され、人材が枯渇した事例もあります。

 今回の辞任劇は、第一の文脈においてこそ、日本国の政治を良くする方向に働くことになります。この意味において、与野党を問わず、全ての国会議員の方々の行いが問われるべきではないか、と思うのです。