時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政治家の通名問題

 昨日は、立候補者のひらがな書き問題について記事を書きましたが、この件につきまして、立法府と行政府とでは通名に関する扱いが違うとの情報をいただきました。知事や市長といった行政府のメンバーを選ぶ場合には、戸籍上の本名を用いなければならないのですが(国でも内閣のメンバーは本名…)、立法府では、議員は国民の代表とする見地から、通名を用いることが許されているそうです。

 立法府通名が許される理由は、「日本では国会議員は国民の代表として立法に参画して行政にもの申す立場であり、行政機関の一員ではないため通名使用が認められている(wikipedia)」なそうです。しかしながら、どうもこの説明では、納得しかねます。考えようによりましては、国民の代表であるからこそ公式に本名を名乗るべきですし、たとえ行政府のメンバーが公文書に署名する機会があるとしても、それを理由に、立法府のメンバーは通名でよい、とは言えないからです。立法府でも、議員立法の場合には、発議者として名を連ねるケースもあるはずです。また、国政レベルでは、議院内閣制を採用しているため、内閣は首相と閣僚の過半数は国会議員で構成される仕組みとなりますので、選挙の時点では、通名での立候補が可能です(内閣のメンバーになって初めて国民は本名を知ることに…)。

 通名問題には、知名度の高いタレント議員を当選させたい政党側の意向もあるのでしょうが、政治家に本名を求める国民は多いのではないでしょうか。本名を名乗ってこそ、政治家は、国民に対して真に統治責任を負うことができるのではないかと思うのです。

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