時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本の選挙の非日常性-奇妙なひらがな書きの候補者名

 本日は、多くの地方自治体で選挙が実施されましたが、選挙公報を眺めていますと、奇妙な感覚に囚われます。全ての候補者の表記が、漢字とひらがなの組み合わせなのです。

 氏名のうち、姓がひらがな書きの候補者もあれば、名前がひらがな書きの候補者もあるのですが、義務教育がほぼ完全に普及した時代にあって、漢字を読めない国民が存在していることを前提とした表記は、国民を愚弄しているようにも見えます。一般の社会人であれば、氏名を漢字で書くことは当然すぎるほど当然のことです。氏名をひらがなで書くのが許されるのは、小学校の低学年までであり、社会人となって氏名をひらがなで書いたら、即、常識を疑われてしまいます。日本の選挙風景が、どこか軽々しく感じられるのも、候補者名のひらがな表記が氾濫しているからなのかもしれません。政治家という重職を選ぶのですから、戸籍上の正式の氏名を以って表記しないことには、真剣味に欠けてしまいます。

 もっとも、一つの漢字に対して訓読みも音読みもあり、かつ、その読みも多数ある日本語では、個人を特定するには、漢字と読みの両方を知らなければならないという問題があります。また、常用漢字以外の難解な漢字や、きらきらネームの如く、名前に特別な読みを付けている場合もあります。そこで、せめて漢字表記にふりがなを添え、投票では、そのどちらで書いても有効とする、といった方法で対処してはどうでしょうか。選挙はあくまでも日常であって、選挙期間に非日常的な空間が出現するのは、国民の政治離れの一因のように思えるのです。

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