時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ばらまき政策では”愚者の船”に

 中世において広まった寓話に、”愚者の船”があります。このモチーフは、絵画などでは、愚者達が、自らが乗っている船であることに気付かずに、せっせと船底に穴を開けたり、マストの柱を切ったりしている姿として描かれています。我が国の今般の財政状況を考えますと、与野党のばらまき政策もまた、この”愚者の船”に通じる危うさを感じるのです。

 国家の財源とは、税収によって賄われています。特に、希少資源やエネルギー資源の産出しない我が国では、他に財源を求めようもありません。しかしながら、自己の利益ばかりに目がくらんでしまいますと、財源には限度があって、しかも、他者の負担によるものであることを忘れがちとなるのです。

 選挙に際しては、この利権の配分は、最大限に利用される可能性があります。どの政党も、ばらまき政策というある種の”収賄”行為で、票を獲得しようとするからです。”ばらまき合戦”の結果は、もちろん、国庫の底が抜けて、船が沈没!ということになりましょう。

 政党も国民も、”賢者の船”の乗員となるよう、自らを省みなくてはならないと思うのです。