時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

首相には戦略型のリーダーを

 政治的リーダーには、戦略型と調整型があります。現在、首相=自民党総裁の座をめぐり、党内の選挙戦が闘われておりますが、憲法に規定された首相の権限を考慮しますと、首相には、戦略型のリーダーを選ぶべきではないかと思うのです。

 首相(内閣)の権限は、憲法第73条に定められています。この中で特に重要となる点は、首相には、外交関係を処理する権限(2項)と条約を締結する権限(3項)が付与されていることです。このことは、首相は、国際社会の中で自国の立場を正当に保ち、脅威がある場合には、国家と国民を守る責務があることを示しています。首相の資質に、戦略性を欠いては、国家の存亡にかかわる役割を果たすことはできなくなりましょう。

 議会や党内においては調整型のリーダーに期待が寄せられるのでしょうが、対外政策にあっては、足して二で割る方式では著しく国益を損なうこともあります。特に、北朝鮮といった国に安易に妥協をしますと、自国および自国民に危害が及ぶかもしれません。総裁選挙にあっては、是非、この点を考慮していただきたいと思うのです。