時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

公明党と現世ご利益主義

 宗教とは、とかくに一括りで捉えられがちですが、実際には、教義によって千差万別です。例えば、キリスト教大乗仏教のように博愛的な万民救済を求めるものもあれば、小乗仏教のように修行者個人の悟りに力点が置かれている宗教もあります。さらに、彼岸における至福を求める宗教もあれば、道教のように現世における利益を願うものもあります。それでは、利己主義と現世主義が結びついた宗派が政治に参加すると、どのようなことが起きるのでしょうか。

 現在、日本国では、創価学会という新興宗教組織をバックとした公明党が、連立政権の一角を成しています。この教団の教義とは、どうやら、先に述べたような、利己主義と現世主義を併せ持つものらしいのです(間違っていましたら、教えてください)。しかも、他者から見ますと理解しがたい全体主義的な教祖崇拝の体質も持ってます。もし、この教団が、自らの教義を実現しようとするならば、その手法は決まっています。つまり、政治的な権力を用いて、信者に対してのみ特別に利益を供与しようとするのです。この結果、創価学会員ではない他の大多数の人々は、排斥されり、不利益を被ることになりかねないことになります。

 ヨーロッパなどでは、ドイツのCDUのようにキリスト教系の政党がありますが、これは、博愛主義と万民救済を基礎としていますし、現世利益を求めるものでもありません。しかしながら、日本のように、集団的利己主義と現世利益を柱とする宗派政党が政治に参加しますと、政府が特権集団をつくることになってしまうのです。政教分離が定められた理由は、ここにもあると言えるかもしれません。