時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

成人年齢と精神年齢とのギャップ

 日本人は、大人になる時期が遅い、あるいは、大人になりきれないネオテニーである、という説があります。言われてみますと、確かに、日本人には、自分自身も含めて、どこかに子供っぽい無邪気な心を残している人が多いのかもしれません。

 ところで、最近となって、鳩山法相が、成人年齢の引き下げの検討を示唆していると報じられています。その一方で、現在の若者の様子を見てみますと、むしろ、精神年齢は、昔の人々よりも遙かに低いのではないか、と思うのです。この現象は、若者世代のみならず、もしかしますと、すべての世代にも言えるのかもしれません。かつては、人間50年でしたが、今では80年ですので、人生のスパーンそのものが変化してきているのです。このことを考えますと、本当に、成人年齢を下げて良いものか、いささか疑問なところです。あるいは、あえて成人年齢を下げることによって、”大人”の責任と自覚を持たせることが、隠された意図なのかもしれません・・・。

 もちろん、若者の意見を尊重することは大切です。ですから、一律に考えずに、例えば、裁判員制度のような判断力を必要とする場合には、むしろ、対象年齢を上げる措置をとってもよいのではないか、とも思うのです(裁判員制度の導入には問題があるのですが・・・)。何れにしましても、そもそも成人とは何か、から考えなくてはならない問題なのかもしれません。