時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

年金制度の可能性

 全額税方式も検討すべき提案なのですが、他にも、様々な工夫や改革が考えられます。路線を一つに絞り込む前に、まずは、アイディアを集めることが大事なように思うのです。

 年金制度とは、勤労者が退職後の老後になって、生活費に困らないために設けられているものです。現在の事業者が一括して納付する方法は、給与所得者を捕捉することはできますが、それ以外の自営業、主婦、あるいは、非正規の被雇用者の場合には、システマティックな納付制度から外れてしまいます。年金の未加入者は、この層に集中していますので、年金制度改革を論じるに当たっては、むしろ、システムへの組み込みと定期収入のない人々の老後生活の保障という側面からアプローチした方が良いのかもしれないのです。この点、消費税方式とは、全国民をシステムに組み込み、老後不安を抱える層に対して、所得移転政策で保障を与える方式と考えられます。しかしながら、消費税方式を採らなくとも、現実に生活ができなくなった人々には、生活保護制度がありますので、ピンポイント式に救済することは可能です。また反対に、自営業者や資産家など、所得のある人については、税方式で保険料を徴収することもできるはずです。さらに、選択制の強制加入制度なども検討されてもよいのではないか、と思うのです。これは、国民は、公的であれ、民間であれ、何れかの年金に加入しなければならないとする制度で、複数のシステムを併用して全体をカバーする方法です(民間の年金に加入している場合、あるいは、一定額の預金がある場合には、公的年金に加入する必要はない・・・)。

 何れにしましても、早急に決定するよりは、様々な可能性を追求した方がよいのではないか、と思うのです。