時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ビルマに国造りのチャンスを

 ビルマの軍事政権は、ようやく国際社会の批判に応えるかのように、新しい憲法を制定し、民主的な選挙を実施する方向に歩み始めようです(本日付産経新聞朝刊)。民主化への重要な一歩を踏み出したようにも見えるのですが、昨年の国民弾圧事件を思い出しますと、そう簡単には事は進みそうにありません。

 まず、軍の影響下で作成された憲法の草案に問題がありそうです。この憲法の定める統治制度とは、複数政党制を認めつつも、議員の四分の一は、軍人から選出される、と規定しているようなのです。これでは、かつて、社会・共産主義国で導入されていた党の優越的な立場を維持するための”議席割当制”に近いことになり、複数政党制も形骸化しかねません。本物の民主主義を実現するためには、こうした事前の議席配分をやめるか、もしくは、憲法改正を容易にするといった方法はありそうです。四分の一に、どれ程の数の力が与えられるのかはわかりませんが、ビルマ民主化には、より踏み込んだ改革が必要なようです。

 本日は、日本国では建国記念日として国家成立が祝われる日ですが、何れの国々も、自国をより良くするチャンスこそ必要です。そのようなチャンスがあればこそ、国民は、政治に関心を持つことができる、とも言えましょう。