時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

身勝手な考えが公的年金制度を壊す

 公的年金の改正案については、消費税による全額税方式など、数々の案が提起されています。そもそも、年金改革を要する最大の理由は、保険料の未納者問題にあるのですが、これまで、その要因についての詳しい調査や分析は行われてこなかったように思うのです。

 年金未納者には、まず、所得が低くて納めることができない人々と、納める余力を持ちながら、敢えて納めない人々に二分することができます。特に問題となるのは、後者の方であり、このカテゴリーにあっても、1.富裕層に属し、公的年金に頼らなくてもよいと考える人々、2.富裕層に属してはいないが、保険料を払いたくない人々、3.既存の制度が崩壊し、全額税方式の導入を待っている人々に、およそ分けることができます。これらの人々は、いささか身勝手と言うことで共通しています。1の人々は、確かに、年金の給付を受けなくても生涯の生活に困らないのですが、制度として全員加入を定めている場合、制度改革を求めるのが筋と言うことになります。2の人々も、もし、老後になって生活に窮するようになった場合、他者に負担を求めることになるに気付いていません(生活保護・・・)。そうして、3の人々は、保険料を納付せずして給付を待つのですから、確信犯的に身勝手と言うことになります。

 如何なる公的制度も、身勝手な人々が増えますと、維持できるはずはありません。健康保険制度にしましても、政府から”取る”ことばかり考える国民が増えますと、当然に、支出が増大して天井知らずの財政難に陥ります。政府は、年金の未納者問題を放置するよりも、それぞれの原因に即した対応した対策を考えた方がよいのではないか、と思うのです。

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